インドネシアで“激安シャインマスカット”が大量に売られている理由

Indonesia Makassar

日本では高級フルーツなのに、なぜここまで安くなるのか?

日本でシャインマスカットといえば、「一房2,000円〜以上」の高級フルーツとして知られています。贈答用として扱われ、スーパーに並んでいても気軽に手が出せるような価格ではありません。しかし、インドネシアに住んでいると、この常識が覆る光景に出会います。

マカッサル市内の大型スーパーに立ち寄ったときのこと。棚一面にぎっしり並んでいたのは、透明パックにびっしり詰められたシャインマスカット。「ANGGUR MUSCAT(シャインマスカット)」と表示され、値段を見ると なんと1パック39,400ルピア(約380円)。

日本で見慣れた高級感とはかけ離れた、まさに“激安”。しかも、在庫が山のように積まれ、誰でも手軽に買える雰囲気です。

ではなぜ、インドネシアではシャインマスカットがここまで安く、そして大量に流通しているのでしょうか?

その背景を3つの理由から解説し、最後に日本市場との比較を通して見える“フルーツのグローバル化”について考察します。

激安の理由

インドネシアでシャインマスカットが激安で大量に出回っているのは、

アジア各国の大量生産・インドネシア小売の低価格戦略・果物消費大国という構造的要因が重なっているためです。

■理由①:アジアでの“量産体制”により市場価格が急落

― 中国・タイ・ベトナムでの大規模栽培と競争激化 ―

まず最も大きな背景は、アジア圏でのシャインマスカットの大量栽培です。

日本で生まれた品種であるシャインマスカットは、近年アジア諸国で急速に普及しました。特に中国では、広大な土地と低コストの労働力を活かした大規模ぶどう栽培が一気に進み、高糖度ぶどうの大量生産が成功しています。

さらに、タイやベトナムなどの東南アジア諸国も栽培に参入し、次のような現象が起きました。

生産者が急増し供給が飽和

農家間の競争により価格が自然と下落

気候がぶどう栽培に適し収量が増えやすい

その結果、アジアの市場では「シャインマスカット=高級品」というイメージが薄れ、むしろ“大量に作られる一般的な果物”へと変化しつつあります。

つまり、日本だけが依然として“高級フルーツ”の位置づけを維持している一方で、アジアでは供給爆発により一般化し、インドネシアにもその波がそのまま届いているのです。

あやしい日本語が書かれている晴王(ズドウ)

■理由②:インドネシアのスーパーは“低価格輸入品”を積極採用

― 価格競争が激しいほど売れる小売モデル ―

インドネシアの小売市場には、日本とは異なる明確な特徴があります。それは、

「高品質よりも、とにかく手頃で買いやすい食品が支持される」

という、価格重視の購買文化です。

特にスーパーマーケットでは、消費者が“少しでも安い商品”を選ぶ傾向が非常に強いため、輸入業者も自然と 安価な果物の仕入れを優先 します。シャインマスカットもその例外ではありません。

日本のように見た目や糖度、産地にこだわる高級路線ではなく、

中国産・タイ産などの“安価なシャインマスカット”を大量購入

大きいパックに詰め、1パック400円前後で販売

ラックいっぱいに陳列して“お得感”を演出

という販売戦略が一般化しています。

その結果、マカッサルのスーパーでは棚いっぱいにシャインマスカットが並び、値札は日本の1/5〜1/7という破格。大量仕入れと大量販売のサイクルが確立し、日常的に手に入る果物として定着しているのです。

■理由③:インドネシアは“果物消費大国”で大量流通が前提

― 3億人市場で需要が高く、ロスが出にくい ―

インドネシアは人口約3億人、世界第4位の人口大国です。この巨大市場は、果物の消費にもはっきりと現れています。

フルーツは日常食として浸透

イスラム文化圏ではギフトとして果物がよく利用される

若い世代が多く、健康志向の高まりで需要も増加

こうした背景により、果物の流通量が非常に多く、輸入果物も大きなシェアを占めています。

物流業者やスーパーにとっては、大量に仕入れても 売れる確率が高くロスが少ない。結果として、

大量仕入れ → 物流効率向上 → さらに価格が下がる

よく売れる → さらに大量仕入れ → 価格競争が加速

という構造的な価格低下が起きやすく、シャインマスカットの激安化を支えているのです。

たとえば(実例)

●マカッサルのスーパーでは“1パック39,400ルピア”

実際にマカッサル市内のスーパーで見たシャインマスカットは、

1パック39,400ルピア(約380円)。

棚全体に陳列され、誰でも気軽に手を伸ばせる“普通の果物”として扱われていました。

●日本との価格差は5〜7倍

日本の百貨店では1房2,000円〜以上が一般的ですが、インドネシアでは400〜600円。

単純比較で 5〜7倍の差 になります。

「同じ果物でも、市場構造が変われば価値はここまで変わるのか」と実感する瞬間です。

●ローカルの人にも大人気

現地の友人に聞くと、

「シャインマスカットが高級品だなんて知らなかった」

「甘くておいしいのに安いから、毎週買っている」

といった声が返ってきました。

インドネシアでは、もはや“庶民の果物”として完全に浸透しているといえます。

まとめ

インドネシアでシャインマスカットが激安で流通しているのは、

アジアの大量生産、インドネシア小売の価格重視文化、そして3億人市場が生む高い果物需要

という3つの要因が同時に働いているためです。

つまり、日本では高級品であっても、流通構造が変われば“普通のフルーツ”に変わる。

シャインマスカットは、その象徴ともいえる存在です。

 

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