ローカル感たっぷり!スラバヤからマランへ、バスで楽しむ夜のジャワ島移動
スラバヤから東ジャワの高原都市マランへ、ローカルバスで移動した体験を紹介。運賃はわずか20,000ルピア。出発までののんびりとした流れ、売り子やギター弾きが行き交うにぎやかな車内、そして冷房の効いた狭い座席——すべてがローカルらしい旅の風景でした。都市間の中距離移動を“旅そのもの”として楽しむ、インドネシアならではのバス旅の魅力をお伝えします。
プラバヤバスターミナルへ移動
ザングランディ本店でクラシックなアイスを楽しんだあと、空はすっかり夜色に染まっていました。次なる目的地は、東ジャワの高原都市マラン(Malang)。ジャカルタやスラバヤに比べて標高が高く、冷涼な気候と美しい街並みが魅力の街です。

夜のうちにマランまで移動しておけば、翌朝から観光をスムーズに始められる。そう考えて向かったのが、スラバヤの「Purabaya(プラバヤ)バスターミナル」。地元では通称「Bungurasih(ブングラシ)」と呼ばれています。市内中心部からはGRABなどの配車アプリを使って約40分。ここはスラバヤ最大の中・長距離バスターミナルで、ジャワ島各地へ向かう交通のハブとなっています。

ジャワ島のバス移動は「安い・早い・多い」
ジャワ島内の中距離移動には鉄道もありますが、実はローカルバスも非常に発達しています。特にスラバヤ〜マラン間は、高速道路網(Surabaya–Malang Toll Road)が整備されており、渋滞がなければ所要時間はおよそ1.5〜2時間ほど。

運賃も驚くほどリーズナブルで、今回乗車したローカルバスは20,000ルピア(約200円)。鉄道よりも安く、運行本数も多いため、荷物が少ないバックパッカーや地元の人々にとっては、今もなお人気の移動手段です。

マラン行きのバスは、ターミナル内にある専用レーンから発車します。いわゆる「エコノミークラス」に相当する中型バスで、エアコン付きながら、いかにも“ローカル感”あふれる素朴な車両です。

出発までが“旅の始まり”──のんびりローカルタイム
バスに乗り込むと、「出発したかと思えば、すぐ止まる」の繰り返し。バスはしばらくターミナルの敷地内や周辺道路に停車しながら、車掌(通称:kernet)が「マラーン、マラーン!」と大声を張り上げて乗客を呼び込んでいきます。

手を振って合図する通行人、乗り込んでくる新たな乗客。発車時間は“満席になったら出発”という、インドネシアらしいのんびりとしたスタイル。時刻表はあってないようなものですが、その緩やかな空気もまた旅の醍醐味です。
車内はまるで“動く市場”──売り子とギターとBGM

停車中の車内には、ジュースやピーナツ、揚げ物などを売りに来る売り子たちが次々に乗り込んできます。ときにはギターを抱えた男性が現れ、1〜2曲を披露してからチップを求めて降りていくことも。乗客たちも笑顔で応じていて、まるで“動く市場”のようなにぎやかさです。

出発後も車内のスピーカーからは、ローカルのポップスや演歌調の曲が大音量で流れ続けます。乗客の中には口ずさむ人もいれば、スマホでYouTubeを観ている人も。とにかく自由で、音と人間味に満ちた空間です。
狭いけれど味がある──ローカルバスの座席事情
バスの座席は2列−3列の配列で、かなりコンパクト。座面はやや薄く、背もたれもあまり高くはありません。体格の大きい人にとっては窮屈に感じるかもしれませんが、それも含めてローカルバスならではの“味”といえるでしょう。

冷房は完備されていますが、車両によっては効きすぎて寒いこともあります。長袖を一枚持っておくと安心です。また、途中でトイレ休憩は基本的にないため、乗車前のトイレは必須。乗車中の水分のとりすぎにも注意が必要です。
約1時間半、満席でマランへ
ついにバスが満席になり、本格的に出発。夜のジャワ島を南へと滑るように進んでいきます。夜間のため交通量も落ち着いており、スムーズに走行。約1時間半後にはマランの市街地に到着しました。

多くの乗客は、終点のマラン・アルジョサリ・バスターミナル(Arjosari Terminal)まで行かず、その手前にあるアルファマート前のGRAB乗降ポイントで下車します。

ここからは、配車アプリでバイクタクシーや車を呼ぶのが地元の定番スタイル。地元の人と同様にGRABを使い、今夜のホテルへと向かいました。
ローカルの空気を感じる“バス旅”も悪くない
たしかに、快適さや清潔さでは鉄道や長距離バスに軍配が上がるかもしれません。しかし、このローカルバスならではの雑多さ、ゆるさ、にぎやかさには、“旅”の本質が詰まっているようにも感じます。
スラバヤからマランまでのわずか1時間半の道のりでも、音や香り、人々の声に満ちた「ローカル体験」に出会える――そんな旅のひとときをくれたバス移動でした。