Lion Air がまさかの A330neo436席ワイドボディに驚いた日
JT873 が“機材大当たり”だった理由
マカッサルからジャカルタへ向かう Lion Air JT873 便。
これまで何度も搭乗してきた路線ですが、この日のフライトはこれまでの中でも特別でした。
搭乗口に向かうと、視界に飛び込んできたのは、想像を上回る巨大なワイドボディ機、Airbus A330-900neo(登録番号 PK-LES)。
普段のマカッサル空港で見慣れた B737 とはあまりにも違うスケール感に、思わず足が止まったほどです。
インドネシア国内線といえば「B737かA320」。
これはほぼ常識であり、私自身も何の疑いもなくそう思い込んでいました。
しかしこの日は、まさかの最新鋭機 A330neo が投入されている。
そのことにまず驚き、そして機内に入った瞬間、さらにもう一段階の驚きがありました。
座席配置、キャビンクルーの構成、雰囲気――
すべてがいつもの Lion Air と違うのです。
今回は、そんな“特別感だらけだった JT873 の A330neo フライト”をご紹介します。
まさかの A330neo登場!搭乗前からテンションが上がる

搭乗口へ向かう途中、窓の外に見える大きな影。
近づくほどに大きくなる機体は、どう見ても B737 のサイズではありません。
双発エンジンは人の背丈より遥かに大きく、翼はしなやかに曲線を描きながら長く伸び、A330neo 特有のシャークレットが青空に映えています。
「インドネシア国内線に A330neo!?」
目を疑いましたが、機体側面にはしっかり「PK-LES」と記されている。
PK-LES は Lion Air が国際線でも使用する A330-900neo。まさかマカッサルからジャカルタの国内線で乗れるとは思いもしませんでした。
この段階で、私はすでに今日のフライトが“当たり”だと確信していました。
オールエコノミー436席の3-3-3配列

A330でこの密度は本当に珍しい
機内に入って最初に感じたのは、広い。とにかく広い。
しかし、次の瞬間、ある違和感が。
「A330 なのに……3-3-3?」
A330と言えば“2-4-2”が標準の座席配置です。
しかし Lion Air の A330neo は、LCCらしく徹底的に座席を詰め込んだ 436席仕様。
なんと9アブレストの3-3-3 に改修されています。
A330をこの配列にする航空会社は、世界的に見ても多くはありません。
とはいえ、見た目ほど窮屈ではありませんでした。
その理由は——
- 天井が高い
- 通路幅が広い
- 全体の色使いが明るく圧迫感がない
- A330neo の最新仕様でキャビンがとても洗練されている
この4点が大きく影響しています。

シート幅も、数字上は狭くなっているはずなのに、
飛行中に「狭い」と感じる場面は意外なほど少なかった。
特に B737 と比較すると、
“機体そのものの大きさ”が生み出す余裕が圧倒的です。

男性クルー中心の珍しい編成
その理由は“ハッジ運航”か?
この日のフライトで最も印象に残ったのが、キャビンクルーの構成。

通常の Lion Air のイメージでは、女性クルーが多いか、男女混合のことがほとんどです。
しかしこの便は、
ほぼ全員が男性クルー。
これは本当に珍しい。
男性クルーが多いと、
その場の空気がどこか“引き締められたような雰囲気”になります。
テキパキした動き、はっきりした声、安定感のある指示。
プロフェッショナル感がより際立ちます。
では、なぜ男性クルーが多かったのか。
その理由として最も可能性が高いのが、
“ハッジ(巡礼)運航”との関連 です。
Lion Air の A330シリーズ、特に PK-LES を含む機体は、
サウジアラビアへのハッジ・ウムラ便に頻繁に投入されます。
ハッジ便は、
- 乗客数が非常に多い
- 荷物量が多い
- 身体介助が必要な乗客も多い
- アラビア語での案内が求められる場面もある
といった理由から、男性クルーの比率が高くなると言われています。
そのため、
国内線での訓練
評価フライト
国際線スケジュールに向けたローテーション
として、今回のような男性中心の編成になることは珍しくありません。
今回の JT873 は、まさにそのタイミングに当たったのでしょう。
そう思うと、さらに特別感が増しました。
A330neo の静粛性に感動
離陸から上昇まで、とにかく静か
滑走路に向けてタキシングが始まると、A330neo の本領が発揮されます。
エンジンは Rolls-Royce Trent 7000。
これがとにかく静か。

B737 のような「ウワァァァーン!」という唸りがほとんどなく、
「スーッ」と吸い上げられるように加速していきます。
離陸滑走の段階で、
「え、こんなに静かなの?」
「本当にフルパワー出してるの?」
と思ってしまうほど。
上昇中も振動が少なく、
キャビン内の揺れも極めて小さいため、
リラックスした状態で窓の外の景色に集中できます。

これは A330neo ならではの乗り心地で、LCC であっても最新鋭機の良さは存分に味わえます。
大型機で飛ぶ2時間は“国際線のミニ体験”
マカッサルからジャカルタまでは、約2時間のフライト。
しかし、この 2時間が想像以上に快適。
A330neo の大きな窓から見える空と雲。

天井の高さからくる“閉塞感のなさ”。
静かなエンジン音。
ゆったりとした通路幅。
3-3-3ながら機体の大きさゆえの余裕があり、
2時間があっという間に感じるほど。
さらに、男性クルーの安定した対応が相まって、
「今日は国際線みたいだな」と感じる瞬間が何度もありました。
大型機ならではの
“どっしりとした安定感”
が感じられるフライトは、
やはり小型機とは別次元です。
JT873 に A330neo が投入される理由
なぜ、国内線の JT873 に A330neo が投入されたのか。
これにはいくつか理由が考えられます。
●需要が極めて高い路線
マカッサル〜ジャカルタはインドネシア国内でも屈指の幹線。
便によっては満席が続き、乗客数に対して B737 では不足することもあります。
●ピーク時期の輸送効率
休日・連休シーズンは乗客が一気に増えるため、大型機の方が効率的。
●国際線運用の合間
ハッジやウムラの国際チャーター運航の前後で、
国内線に投入される日があります。
●乗務員訓練のスケジュール
大型機のパイロットやクルーは、定期的に飛行時間を確保する必要があるため、
国内線で訓練フライトを行うことがあります。
これら複数の要素が重なり、
「今日は A330neo が来ている」という日が生まれるわけです。
まとめ:LCCのA330neoは“意外に快適でクセになる”
今回の JT873 は、
単なる“機材変更による大型機”ではなく、機体、座席、静粛性、クルー構成すべてが特別な便でした。
- A330neoという最新鋭のワイドボディ
- 436席・3-3-3の珍しい高密度仕様
- 737とは別次元の静粛性
- 男性クルーが中心のレア編成
- ハッジ運航を連想させる特別感
これらが重なり、
“国内線でこんなフライトが味わえるのか”と驚くほどの体験でした。
気づけば着陸し、「もう少し乗っていたかった」と思えるほど快適。
LCCとは思えない満足度の高いフライトでした。A330neo に乗れる JT873 は今後も注目の便になりそうです。
