マカッサルの雨季を楽しむ ― 雨音とホットコーヒーのある暮らし

Indonesia Makassar

南スラウェシ州の州都マカッサルは、今年も雨季の真っただ中にあります。各地で洪水被害が報じられる中、比較的穏やかに雨季を迎えているマカッサル。涼しさに包まれる朝晩、雨音をBGMに楽しむカフェ時間、ホットコーヒーの温もり。乾季とはまったく違う、雨季ならではのマカッサルの魅力と過ごし方を、現地での暮らしの視点からお伝えします。

マカッサルの雨季真っ只中

南スラウェシ州の州都マカッサルは、今年も雨季の真っ只中にあります。

窓の外からは、熱帯特有の激しい雨音が響き、しとしとと降り続く日も少なくありません。

インドネシア各地では洪水のニュースが相次ぎ、バリ島やスマトラ島では深刻な被害が報告されています。その一方で、幸いなことにマカッサルでは、現時点で大きな被害は発生していません。

それでも、今年の雨季は例年より雨量が多いと感じます。空は曇りがちで、午後になると決まってスコールが街を洗い流す。乾季の強烈な日差しと蒸し暑さに慣れた身体にとって、この雨季の涼しさは、意外なほど心地よいものです。

朝晩は肌寒さすら感じるほどで、長袖のシャツに手を伸ばす日も増えてきました。

そんな雨の日には、街角のカフェに入り、温かいコーヒーを一杯。

窓越しに雨を眺めながら過ごす時間は、この季節ならではの贅沢です。

今回は、マカッサルの雨季の特徴と、この時期ならではの楽しみ方についてお伝えします。

今年の雨季は「雨が多い」

例年とは少し違う雨の降り方

マカッサルの雨季は、通常11月から3月頃まで続きますが、今年は特に印象的です。

単に雨の日が多いだけでなく、一度降り始めると長時間続く傾向があります。

朝から夕方まで断続的に雨が降り続く日もあれば、夜中に雷雨で目が覚めることもあります。

地元の人たちとの会話でも、「今年は本当に雨が多いね」という声をよく耳にします。

雨季に慣れているマカッサルの人々にとっても、今年の雨量は特別に感じられているようです。

インドネシア気象気候地球物理庁(BMKG)によると、今年の降水量は平年を上回っています。

ラニーニャ現象の影響により、インドネシア全域で雨が多くなる傾向があり、特に12月から1月にかけては、月間降水量が平年比120〜150%に達する地域もあるとされています。

マカッサルも例外ではありません。ただし、市街地は比較的水はけが良く、これまで大規模な冠水は避けられています。

それでも低地や排水設備が十分でない地域では、一時的に道路が冠水する場面も見られます。

インドネシア各地で深刻化する洪水被害

バリ島の状況

今年の雨季は、バリ島にも深刻な影響を与えています。

デンパサール市やタバナン県では住宅地が浸水し、多くの住民が避難を余儀なくされました。

観光地へのアクセスが制限され、ホテルや飲食店の営業にも影響が出ています。

棚田で有名な地域では、土砂崩れや農地流出といった農業被害も報告されています。

スマトラ島の被害

スマトラ島では、さらに深刻な状況が続いています。

北スマトラ州やアチェ州では河川が氾濫し、広範囲で洪水が発生しました。

道路や橋が寸断され、物流が停滞。電力や通信にも影響が出ており、復旧には時間を要すると見られています。

救援物資の輸送も困難を極め、被災者支援が大きな課題となっています。

マカッサルが大きな被害を免れている理由

マカッサルが今のところ大きな被害を受けていないのは、いくつかの理由が考えられます。

まず、緩やかな傾斜と海に面した地形により、水が滞留しにくいこと。

次に、過去の洪水被害を教訓とした排水インフラの整備です。特に市中心部では、雨水排水能力が向上しています。

また、激しいスコールが中心で、長時間の降雨が比較的少ない点も影響しています。

ただし、今後さらに雨量が増えれば油断はできません。郊外の開発地域などでは、引き続き注意が必要です。

雨季がもたらす「涼しさ」という恵み

暑さから解放される季節

乾季のマカッサルは、気温32〜34℃、体感温度はそれ以上になることも珍しくありません。

その暑さに耐えた後に訪れる雨季は、まさに恵みの季節です。

雨が降ると気温は28〜30℃まで下がり、夜は25℃前後になることもあります。

この気温差は、暮らしやすさを大きく変えてくれます。

朝晩の肌寒さ

朝起きると、窓から入る空気がひんやりと感じられます。

薄手の毛布をもう一枚かけたくなるほどで、熱帯にいることを忘れる瞬間です。

夜も同様に、Tシャツ一枚では少し寒く感じることもあり、地元の人々も長袖やパーカーを着始めます。

雨の日のカフェとホットコーヒー

雨宿りの文化

突然のスコールが降ると、人々は自然とカフェに集まります。

マカッサルには、チェーン店から個人経営まで、数え切れないほどのカフェがあります。

雨宿りは、ただ雨を避けるだけではありません。

おしゃべりをし、読書をし、仕事をしながら、雨が止むのを待つ。

それ自体が、マカッサルの日常です。

雨の日に欠かせないのが、ホットコーヒー。

普段はアイス派の人も、この季節だけはホットを選びます。

スラウェシ島はトラジャコーヒーの産地でもあり、香り高い一杯が楽しめます。

雨季の肌寒さにぴったりです。

窓際の席で、雨音をBGMにコーヒーを味わう時間。

グレーに霞む街、傘を差す人々、水たまりを走るバイク。

雨の日のマカッサルには、静かな美しさがあります。

おわりに

マカッサルの雨季は、不便な面も確かにあります。

洗濯物が乾かない、予定が立てにくい、渋滞が増える。

それでも視点を変えれば、涼しさ、雨景色、カフェ時間という、雨季ならではの魅力があります。

大きな被害を免れている今だからこそ、感謝の気持ちと警戒心を忘れずに過ごしたいものです。

ホットコーヒーを片手に、雨音に耳を傾ける。

それは、マカッサルの雨季を最も豊かに味わう方法のひとつだと思います。

 

人気記事海外送金!インドネシアから日本に送金、ワイズ(Wise)とトップレミット(Topremit)どちらが良いか?

人気記事わかりやすい!インドネシアで就労ビザ取得方法!