【多数決の原理と少数派の権利】民主主義の原則に揺れるインドネシア

Indonesia

民主主義<非民主主義

スウェーデンの調査機関V-Demによると、19年に民主主義国・地域は世界に87。非民主主義は92で、民主主義が18年ぶりに非民主主義の勢力を下回ったそうです。

この調査を初めて聞いた時、耳を疑った。世界中を見渡せば、残念ながら日本や先進諸国のような民主主義を採用している国はそれほど多くないということです。

世界の多くの国々で、少数の独裁者が実権を握り「最大多数の最大幸福」が実現されておらず、民主主義を採用する国々でも「一部の利権集団」が強大な権力を持つ国が多くなってきました。

インドネシアは1998年、東南アジア通貨危機の余波と地方から首都へと波及した学生や労働者などによる民主化要求デモにより、32年間続いたスハルト長期独裁政権が崩壊しました。

これによってインドネシアの人々は、長年の願いであった「民主化」による自由を手にすることができました。

長年抑圧されてきた基本的人権である、言論と表現の自由、宗教と信仰の自由、法の下での正当な手続きと平等な保護、そして組織を結成し、発言し、異議を唱え、社会の公共生活に全面的に参加する自由などが一気に開放されたのです。

しかし、インドネシア民主化から20年以上が経過した現在、自由に拡大してきた「基本的人権」に歯止めをかけようとする動きが進行しているようです。

オムニバス法の反対運動で民主化が後退

10月は、インドネシア各地でデモが繰り広げられた。国会が10月5日に採択した雇用促進のために各労働法改正を盛り込んだ「オムニバス法」への反対運動が各地で起こり、治安部隊と衝突が繰り返されています。

大統領官邸に向かう労働者や大学生のデモが一部暴徒化してバス停などが破壊、放火される騒ぎとなりました。

警察部隊は放水や催涙ガスでデモの統制を試みていましたが、デモ隊から投石が始まると参加していた中高生を一斉検挙、大学生や労働者には過剰暴力を振るいながら逮捕しています。

「ジャカルタ・ポスト」は、10月26日の社説で、「市民の自由な権利が危険に瀕している」として調査機関の世論調査で74%の国民が「意見表明のデモや集会の開催が難しくなっている」と感じていることを明らかにしました。

さらに警察の過剰暴力を批判したり、自分の意見を表明したりすることに危険を感じている人が増加しており、58%の人は「インドネシアの民主化が後退している」との認識を示していると伝えています。

オムニバス法で賛否の溝が深まる

オムニバス法により投資環境が改善され、雇用も増えるとアピールする政府や財界の人々。

一方で、ASEAN域内最悪の感染者数、感染死者を記録し続けている新型コロナウイルスによる医療崩壊や、感染拡大防止のための社会活動の制限に起因する、大量の失業者と生活困窮者の発生と経済活動の停滞による状況が、逆に雇用環境を悪化し、労働者の生活難は続くと訴える市民社会勢力。

さらには環境保護の脆弱化を懸念する環境団体。

こういう様々な立場の主張は平行線のままです。

長期独裁政権を打倒して実現したインドネシアの民主主義は、「庶民派」とされ、国民の視点に立った指導者として広く国民からの支持されているジョコ・ウィドド大統領でさえ、有効な手立てもない状況になっています。

最大多数の最大幸福

民主主義の目指すものといえば、いくつかの議論はありますが「最大多数の最大幸福」が極めて重要なテーマの1つです

もちろん、少数派を蔑ろにすべきではありませんが、どのように少数派に配慮すべきなのかということも、議論を尽くしたうえで、最終的には「最大多数」の考えが尊重されるのが当然です。

一見すると、多数決の原理と、個人および少数派の権利の擁護とは、矛盾するように思えるかもしれません。しかし実際には、この二つの原則は、われわれの言う民主主義政府の基盤そのものを支える一対の柱なのです。

多数決の原理は、政府を組織し、公共の課題に関する決断を下すための手段であり、抑圧への道ではない。ひとりよがりで作った集団が他を抑圧する権利がないのと同様に、民主主義国においてさえも、多数派が、少数派や個人の基本的な権利と自由を取り上げることがあってはなりません
民族的背景、宗教上の信念、地理的要因、所得水準といった要因で少数派である人でも、単に選挙や政治論争に敗れて少数派である人でも、基本的人権は保障され享受できる。いかなる政府も、また公選・非公選を問わずいかなる多数派も、それを取り上げてはならない。
少数派は、政府が自分たちの権利と独自性を擁護してくれることを確信する必要がある。それが達成された時、その少数派集団は、自国の民主主義制度に参加し、貢献することができる。 

出典:Bureau of International Information Programs “Principles of Democracy”

民主主義が揺れる

民主主義により、憲法が大切な基本的人権の保障を侵害しないように、国家が守るべき約束を定めて、約束を破れば国民がコントロールできるようにしています。

一方法律が、人と人との自由や権利を調整して、社会秩序をたもっていて、お互いに安全に、快適に暮らせるようにしています。

しかし、民主主義をこんなにも揺らすのは世界的な経済の低成長と資本主義で富を獲得できた富裕層による富の集中による市民との分断によるものが大きいのでしょう。

一部の利権を持った人々が多数派を良いことに、民主主義が集団の中のものごとの決め方として、現在考え得る一番よい決め方として、受けとめられているにもかかわらず、話し合いもせずに、他の意見もろくにきかずに、すぐに多数決で決めてしまうとかいうのは、「民主主義」を実践しているとは言えないでしょう。

判断のもとになる必要な情報を共有しないままで、決めてしまうというのも、やはり「民主主義」になっていません。

本当の民主主義国家になることができるか

約300の民族、583の言語、多様な宗教からなる複合国家であるインドネシアは建国以来、「多様性の中の統一」「寛容性」を国是として掲げ、これを統一維持の要諦としてきた経緯があります。
だからこそ、インドネシアは経済成長できてきて、人々は豊かに幸せになろうと頑張っています。

「形だけの民主主義」ではなく、「本当の民主主義」を実践するためには、単に多数決で決めさえすればいいという訳ではなくて、必要な情報を共有し、一人一人が意見を言える機会があって、みんなでよく話し合いをするという、みんなが努力する必要があるあります。

国家(=権力)は、一人ひとりの国民にとって、大切なもの、必要なものだけど、歴史から導かれる本来的な性質から、時に暴走し、間違いを起こし、そしてそうなってしまうと強大な力があるがために取り返しのつかない痛みを国民にもたらすことになります。

そしてかつて、国家(=権力)は暴走していまい、権力にとって気に入らない人を排除し、ひいては戦争につきすすみ、多くの人が大切な命、自由、財産を失うことになってしまう過去があります。

インドネシア人が古来から持つ、他者への理解、思いやりという素晴らしい心だけは忘れてずに、今後、国としても成長していって欲しいですね。

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