インドネシアのコロナ感染者が10万人を突破
7月27日インドネシアでのコロナ感染者が10万人を超えました。
一方2020年のインドネシア経済成長がマイナスと予想されています。インドネシア経済を回す外国投資誘致への政策への期待とともに、感染者拡大が止まらない状況の中の今後の不安が見え隠れしています。
最新情報
インドネシアで最初の感染者が確認されたのは3月2日です。
周辺国が外国人の入国規制に動くなか、インドネシア政権内からは「我が国は礼拝のおかげで感染しない」(テラワン保健相)というような発言があり国民は安心して移動を続け外国人を入れていました。
その後3月中旬頃から感染者が急増し、都市封鎖の「大規模社会的制限」の発動実施が4月10日と現在の感染状況をみれば、初動の遅れは致命的でした。
その後のラマダンでの帰省禁止を打ち出した時には、すでに都市部から地方への人の移動が終わった後で、それまでは「帰省自粛要請」と説明していたため、感染を地方に広げた恐れが大きいといえるでしょう。
ついに7月27日に10万人に達してしまいました。
感染拡大防止策を政府は打ち出しているが、日本と同様にあまり効果が見られていないのが現状です。
経済成長マイナス見込み
インドネシア2019年実質GD成長率はで5.02%でしたが、2020年1月~3月期が2.97%と落ち込みました。
4~6月期はまだ数値未確定ですが、さらに落ち込むことが予想されています。
インドネシア中央銀行は6月初め、2020年経済成長率は2.3%と楽観的でしたが、コロナ禍の影響の長期化が予想され、下方修正されました。
7月7日のスリ・ムルヤニ財務大臣の発言によると、第2四半期は-3.5~-5.1%とかなり低下し、通年成長率は-0.4~-1.0%のマイナスとなる見込みです。
世界銀行の予測では、貧困人口は560~960万人増加するとされています。
日本や他国と同様に、インドネシアも経済を回す必要性を意識し、セミ・ロックダウン(大規模社会的制限:PSBB)からニューノーマルへの意向を進め、コロナとの共存を目指す方向性を明確にしていますが、感染は拡散しており、収束が見えにくい状況のままです。
経済を回すための投資誘致に躍起
ジョコウィ大統領は、経済回復、とくに投資誘致を積極的に進めるため、各省庁の投資関連法規を一つにまとめ、投資手続を簡素化するオムニバス法の制定を急いできました。オムニバス法は、8月中の国会での成立を目指しています。
投資調整庁によると、2020年第1四半期の投資実施額は前年同期比8%増の210.7兆ルピアでしたが、外国投資は同9.2%減の98兆ルピアに留まり、国内投資を下回りました。コロナ禍を考慮し、2020年通年の投資実施目標は前年比8%減の817兆ルピアに抑えられましたが、今後は外国投資の減少が予想され、厳しい状況が続くものとみられています。
オムニバス法への期待と批判
オムニバス法は、投資関連法規の重複を正し、手続の簡素化を図るものとして、経済界からは、早期成立が期待されています。
その一方で、過度にビジネス寄りであるとの批判も出ています。労働組合からは労働条件の低下に対する懸念が、農業者からは土地収用をより容易に進められてしまうことへの懸念が、そして環境保護団体からは環境影響評価(AMDAL)軽視による環境破壊の進行への懸念が出されています。
これらが政権批判の政治的な動きと連動する気配もあり、今後の動きを注意深く見ていく必要がありそうです。
参考記事:インドネシア進出しやすくなる?オムニバス法案 しかし、法案成立反対して市民がデモ