【本物の潜水艦に乗り込める!?】スラバヤでメカと歴史にどっぷり浸かる
インドネシア・スラバヤ市の中心部に突如現れる巨大な潜水艦──それが「Monumen Kapal Selam(潜水艦記念碑博物館)」です。実際にロシア(旧ソ連)からインドネシアに供与され、海軍で運用されていた本物の潜水艦「KRI Pasopati 410」が展示されています。
全長76メートルを超える巨大な艦体は、内部の見学も可能。魚雷発射管やエンジンルームなどが現役当時のまま保存されており、冷戦時代におけるインドネシアとソ連の友好関係を物語る歴史的な背景や、解体・再組立を経てスラバヤに設置された驚きの経緯など、見どころ満載。軍事ファンやメカ好きはもちろん、ちょっと変わった観光を求める方にもおすすめの体験型博物館です。
元・海軍の本物の潜水艦!

スラバヤの観光地を巡っていると、川沿いの広場にまるで映画のセットのような巨大な鉄の塊が現れます。それが「Monumen Kapal Selam」。思わず「これ、まさか本物!?」と息をのむこと間違いなし。実際にインドネシア海軍で運用されていたロシア製の潜水艦なのです。
潜水艦の正体は「KRI Pasopati 410」
全長76m、全幅6.3m、最大潜航深度:約250メートル、魚雷発射可能な戦闘艦!

展示されているのは、1952年に旧ソ連で建造された「Whiskey-class(ウイスキー級)」と呼ばれるディーゼルエンジン潜水艦。インドネシア海軍では「KRI Pasopati 410」として、1962年から1990年まで実戦任務に就いていました。

潜水艦とはいえ、そのスケールは圧巻。魚雷格納庫や通信室、エンジンルームなど、現役時代そのままの状態で保存されており、内部を歩くと“鉄と油の匂い”がかすかに漂ってくるようなリアルさがあります。

ロシアとの軍事協力の象徴として導入された潜水艦
KRI Pasopati 410は、インドネシアが1960年代にロシア(旧ソ連)と軍事協定を結んだ際、友好の証として導入された12隻の潜水艦のうちの1隻です。

当時のスカルノ大統領は非同盟外交を掲げ、西側だけでなくロシアや中国との関係も重視。その結果、1959年以降、数多くの軍事装備がロシアから供与されました。KRI Pasopatiもその一環であり、インドネシアにおける初の本格的な潜水艦部隊の中核を担う存在でした。
「パソパティ」とは、インドの叙事詩『マハーバーラタ』に登場する聖なる武器の名。国を守る“神の槍”として、その名が与えられたのです。
解体・運搬・再組立でスラバヤにやってきた驚きのプロセス
退役後のKRI Pasopatiは、当初スクラップ処分の予定でした。しかし、スラバヤ市とインドネシア海軍の協力により、記念碑として保存するプロジェクトが立ち上がり、1995年に一度解体された上で、現在のカリマス川沿いに運搬・再組立されました。

この巨大な潜水艦を一度解体して運び、再び組み立て直すというプロジェクト自体が、すでに一つの偉業。現在もそのフォルムが美しく保たれているのは、長年にわたる保存活動の賜物です。
内部見学は圧巻!細部まで残されたメカの世界に胸が高鳴る
内部に足を踏み入れると、想像以上の“狭さ”にまず驚かされます。人ひとりがやっと通れるほどの通路、びっしり並ぶバルブや計器、レーダー室や魚雷格納庫まで、見応えは十分。見学ルートの最後にあるエンジンルームは、まるで巨大機械の心臓に入り込んだかのような迫力です。

子どもから大人まで、特にメカ好きにはたまらない空間。艦内の説明はインドネシア語中心ですが、模型やパネルが豊富で、視覚的に楽しめる工夫もされています。

歴史とロマンが詰まった、唯一無二の体験
「潜水艦がそのまま博物館に!?」という驚きとともに、冷戦期の国際関係やインドネシアの近代軍事史にも触れられる「Monumen Kapal Selam」。これは単なる展示物ではなく、歴史を“体験する”博物館です。

アクセス&基本情報
施設名:Monumen Kapal Selam(潜水艦記念碑博物館)
住所:Jl. Pemuda No.39, Embong Kaliasin, Genteng, Kota Surabaya, Jawa Timur
入場料:Rp 15,000(インドネシア人)、Rp 25,000(外国人)
アクセス:スラバヤ・グベン駅(Stasiun Surabaya Gubeng)から徒歩約10分。Delta Plazaのすぐ裏手に位置し、市内中心からもアクセスしやすい立地
所要時間の目安:30分〜1時間程度。外観見学や写真撮影を含め、ゆっくり回るのがおすすめです。