東ジャワ・マランの夜を歩く──激辛テンポンと幻想のナイトウォーク

Indonesia Travel

東ジャワの街・マラン。激辛郷土料理「テンポン」で体を温め、夜の街を歩けば、色彩と静けさが心を癒してくれます。幻想的にライトアップされたアレマの青の村、そして歴史あるマラン駅まで──。そんな夜のマランを散歩しました。

ブロモ山サンライズツアーの後

ブロモ山で神秘的な朝焼けを眺めた後、ツアーを終えてマラン市内のホテルに戻ったのは昼前のこと。部屋でシャワーを浴びると、いつの間にか深い眠りに落ちていました。ブロモの冷たい風にさらされた体が、ようやく休息を得たような感覚でした。

目が覚めたのは夕方を過ぎたころ。辺りはすっかり夜の気配に包まれており、次第に空腹が戻ってくるのを感じました。

せっかくマランに来ているのだから、このままホテルで過ごすのはもったいない。心地よい疲れをほぐすように、夜の街へ軽い散歩に出かけることにしました。

「Sego Tempong」で味わう衝撃の辛さ

まず向かったのは、地元でひそかに話題になっているテンポン(Tempong)料理の専門店「Sego Tempong」。市内中心部から少し外れたエリアにあるこの店は、モダンでおしゃれな外観が目を引きますが、提供されるのはバリバリのローカルフード──東ジャワ・バニュワンギ発祥の激辛郷土料理です。

テンポンとは?

「テンポン(Tempong)」とは、ジャワ語の「ditempong」──“平手打ちされた”という意味の言葉に由来します。あまりの辛さに、まるでビンタされたような衝撃を感じることから、この名が付いたと言われています。

サンバル・テンポンの魅力

この料理の主役は、なんといっても「サンバル・テンポン」。赤唐辛子をふんだんに使い、トマト、にんにく、塩、トゥラシ(発酵エビペースト)、そしてカフィアライムやライムジュースを加えて、伝統的な石臼「コベッk(cobek)」で丁寧にすり潰して作ります。

生のまま仕上げることもあれば、軽く加熱して風味を引き立てることもあり、作り手によって微妙に異なる個性が出るのも魅力のひとつです。

辛さの奥に、トゥラシの濃厚な旨味とライムの爽やかな酸味が重なり、奥深い味わいが広がります。今回注文したのは「ナシ・テンポン(Nasi Tempong)」のセット。熱々の白ごはんに、鶏の唐揚げ、テンペや豆腐の揚げ物、そして空芯菜やキャベツなどの茹で野菜が添えられ、その上にたっぷりのサンバル・テンポンがのっています。

一口目──激辛、しかし、旨い。舌を突き刺すような辛さが一気に押し寄せてくるものの、すぐにトマトとトゥラシの旨味が口の中に広がり、箸が止まりません。気づけば額に汗がにじみ出ていましたが、その汗すらどこか心地よく、体の内側からじんわりと温まっていくのを実感しました。

マランの夜に身をゆだねて

テンポンで体の芯から温まったあとは、再び夜の街へ。ひんやりとした夜風が火照った顔をやさしく冷やしてくれます。マランは標高が高いため、インドネシアの他の都市と比べて夜は過ごしやすく、散歩にぴったりの気候です。

青の誇り「Arema Blue Village」

次に足を運んだのは、地元サッカーチーム「アレマ・マラン(Arema Malang)」を象徴するエリア「Arema Blue Village」。すべての建物がチームカラーの青で塗られたこの地域は、夜の闇の中でもはっきりとした存在感を放ち、誇り高い街並みを形成しています。

青のグラデーションが美しく、どこか静かな情熱を感じさせる風景。サッカーという共通の文化が、この地域の人々をつなぎ、日常の中に誇りを息づかせていることが伝わってきました。

旅のロマン「マラン駅」

さらに歩いて「マラン駅」へ。改札の奥に見えるプラットホームの光と、時折通過する列車の音が夜の静寂を引き締めます。

「いつかこの駅から、ジャワ島を縦断する旅に出てみたい──」

そんな思いが自然と心に浮かびます。鉄道に揺られながらのんびりと旅する時間は、現代の忙しさから解放された、特別な贅沢に感じられます。

一日の締めくくり「Tugu広場」で深呼吸

最後に訪れたのは、マランの象徴「Tugu(マラン・モニュメント・スクエア)」。円形の池の中央に立つ塔と、それを囲む整えられた花壇が、夜のライトアップで美しく浮かび上がっていました。

水面に映る灯り、かすかに聞こえる水の音、そしてほとんど人の気配がない静けさ。この場所は観光地でありながら、どこか地元の人々の心のよりどころのような、落ち着いた雰囲気をたたえています。

静けさが織りなす、マランの夜

静けさと色彩に包まれながら歩いたマランの夜。日中のブロモ山の雄大な風景と対照的に、心を内側から整えてくれるような、優しい時間がそこにありました。観光地としての派手さはないかもしれませんが、夜のマランには旅人の心に残る“味わい深さ”がありました。

 

人気記事海外送金!インドネシアから日本に送金、ワイズ(Wise)とトップレミット(Topremit)どちらが良いか?

人気記事わかりやすい!インドネシアで就労ビザ取得方法!