【空の旅もまた思い出】スマランからマカッサルへ──夕陽とともに移動する最高のフライト
インドネシア・スマランからマカッサルへ向かう夕方のライオンエアJT908便に搭乗。まさかの“窓なし”窓側席に驚きつつも、空のグラデーションやトワイライトに輝くマカッサルの夜景に癒された空の旅を振り返ります。中部ジャワの旅の締めくくりにふさわしい、忘れられないフライトの記録です。
アフマド・ヤニ国際空港から出発、ライオンエアJT908便へ
チェックインと保安検査をスムーズに終え、14時過ぎには余裕を持って搭乗口へ向かいました。今回利用したのは、ライオンエア(Lion Air)のJT908便、スマラン発マカッサル行き。機材はボーイング737-900ER(登録記号PK-LGY)で、夕暮れ時の空に赤白のロゴがよく映えます。

この日は珍しく搭乗も時間通りに開始。出発予定の15時35分ちょうどに搭乗が始まり、搭乗率は約60%と比較的ゆったり。乗客が揃うと15分ほどでドアが閉まり、16時には滑走路を離陸。ライオンエアにしては珍しいスムーズな出発に、「今日はツイている」と嬉しく感じました。
窓側16Aの“落とし穴”──まさかの窓なし座席にがっかり
事前に指定していた座席は16A。景色を楽しむための窓側席のはずが、着席してみるとなんと窓がない……。まさかの“窓なし窓側シート”という落とし穴に落ちた形です。ボーイング737-900ERには、構造上の理由で窓がない席が数カ所存在しており、今回はまさにその場所に当たってしまいました。

機内モニターもないライオンエアでは、窓の有無がフライトの快適さに直結します。がっかりしつつも、後方の窓から首を伸ばし、無理な体勢で空の景色をなんとか楽しもうとする自分に、思わず苦笑い。
夕暮れとともに空へ──時差と空が織りなす幻想のフライト
この時間帯のフライト最大の魅力は、何といっても「夕陽とともに空を飛ぶ」こと。スマラン出発時にはすでに太陽が西へ傾き始め、機体が雲を抜ける頃には、空は柔らかなオレンジ色に染まっていました。地上では決して味わえない、空の上からのサンセット。まさに“空旅ならでは”の体験です。

さらにこの航路には、スマランとマカッサルの間に「1時間の時差」があるため、空に浮かぶ夕焼けがまるで早回しのように変化していく様子を体感できます。時間が巻き戻るような、不思議な感覚に包まれる幻想的なひとときでした。

窓の隙間から見えた空のグラデーション
それでも諦めきれず、後方の窓をちらちらと見つめていると、眼下には雲のじゅうたんと遠くに広がる海が見えはじめ、インドネシアの島々が淡い緑と深い紺色のコントラストを描いていました。まるで水彩画のような、穏やかな風景。

日がさらに傾くにつれて、空はオレンジからピンク、紫へとゆっくりと色を変えていきます。限られた視界ではあっても、その色彩の移ろいに触れられたことが、思わぬ形で心に残るフライトの思い出となりました。


トワイライトに浮かぶ、マカッサルの夜景

フライト時間はおよそ1時間20分。マカッサルに近づく頃には空はすっかり夜へと変わり、眼下には南スラウェシの中心都市・マカッサルの煌びやかな夜景が広がっていました。自動車の光の帯、沿岸の建物の明かり──そのすべてが、旅の終わりを美しく彩ってくれるようでした。

到着は18時20分。空にはまだわずかにトワイライトが残り、しっとりとした空気の中でターミナルへと足を運びました。

中部ジャワの旅、ここに完結
ジェパラからスマラン、そしてマカッサルへ。陸と空を通じて移動したこの旅は、ローカルな出会いと穏やかな自然に包まれた、心ほどける時間でした。最後に見た空のグラデーションとマカッサルの夜景は、そんな旅の締めくくりとして静かに胸に刻まれました。

窓がなくても、少しの視界があれば十分。空からの眺めもまた、旅の記憶の一部。そんなことを実感できた、忘れがたいフライトでした。