もしもジャワ島が、マカッサル時間になったら。勝手に妄想してみた
マカッサルとジャカルタの時差は1時間。もしジャワ島が時計を進めて、マカッサルと同じ時間になったら? 出張や日本との仕事、朝の通勤、退勤後の明るさ、スマトラとの新しい時差まで。マカッサル在住者が、便利さと困りごとを勝手に妄想してみました。
※実際に決まった話ではなく、「こうなったらどうだろう」と考えた記事です。
マカッサルからジャカルタへ飛ぶと、着陸したあとにスマホの時計が1時間戻ります。
5年も行き来していると慣れてきますが、今でもときどき混乱します。会議の案内に「10時」とあれば、それがジャカルタ時間(WIB)なのか、マカッサル時間(WITA)なのかを確認します。確認を忘れると、1時間早くオンライン会議に入ってしまいそうになります。
そこで今日は、少し妄想してみます。
もし、ジャワ島だけが時計を1時間進めて、マカッサルと同じUTC+8になったら。
ある年の1月1日、ジャワ島の時計が1時間進んだ
ある年の元日、ジャワ島の時計が1時間進んだとします。
妄想の中で、政府はこんな発表をします。「経済活動の効率化と、国内の時差の縮小を目的として、ジャワ島の標準時を中部インドネシア時間(WITA)に統一する」。
その結果、ジャカルタ、バンドン、スラバヤ、バリ、マカッサルが、すべて同じ時刻で動くようになりました。シンガポール、クアラルンプール、中国、フィリピンとも同じ時間です。
インドネシアの時間帯は、「スマトラなどのUTC+7」「ジャワ・中部のUTC+8」「パプアなど東部のUTC+9」という並びになります。UTC+8を使う地域が、ジャワ島まで広がります。
私の仕事は、少し楽になる
まず私の生活で一番変わるのは、出張です。
ジャカルタに着いても、時計を戻す必要がありません。「マカッサルの朝7時に出発して、ジャカルタに何時に着くか」を、時差を引かずにそのまま計算できます。小さなことですが、毎回のことなので気持ちが楽です。
ジャカルタとの会議では、「WIBなのか、WITAなのか」と確認する手間がなくなります。取引先と電話をするときに、「そちらは今何時ですか」と考える必要もなくなります。
もう一つうれしいのは、日本との時差です。日本はUTC+9なので、ジャカルタとの時差は今の2時間から1時間になります。日本の本社や取引先とやりとりしているジャカルタ駐在の方には、ありがたい変化かもしれません。
ジャカルタの朝は、少し暗くなる
ただ、良いことばかりではありません。
時計を1時間進めると、日の出の時刻表示も1時間遅くなります。例えば10月上旬のジャカルタは、今は朝5時35分ごろに日が昇ります。時計を進めたあとは、それが6時35分ごろになります。
始業時刻を8時のままにすれば、ジャカルタの人は、今の朝7時に当たる時間に、朝8時として家を出ることになります。ジャカルタの渋滞を考えると、早朝に家を出る人はさらに大変です。
学校の始業時刻をどうするのか、役所や工場はどうするのか。時計だけ一斉に進めたら、しばらく戸惑う人も多そうです。「やっぱり学校だけは7時半を8時半にしよう」と、あとから調整する地域も出てきそうです。
その代わり、仕事のあとに明るい時間が残る
始業・終業の時刻を変えなければ、その分、仕事を終えてから日が沈むまでの時間が長くなります。
例えば10月上旬のジャカルタなら、17時45分ごろの日没が、18時45分ごろという表示になります。夕方5時に仕事を終える人には、帰宅後も明るい時間が今より1時間多く残ります。仕事帰りにまだ明るい屋台で食事をしたり、子どもと公園に寄ったりする人が増えるかもしれません。
ヨーロッパのサマータイムに近い感覚です。ただし、この妄想では、季節で時計を戻さず、一年中その時間を使います。
スマトラとの間に、新しい時差ができる
一方、スマトラとのやりとりには、新しい手間が生まれます。
これまでジャカルタと同じ時間で動いていたメダンやパレンバンとの間に、1時間の時差ができるからです。ジャカルタに本社があり、スマトラに工場がある会社は、今度はそちらで「WIB? WITA?」と確認することになります。
マカッサルとジャカルタの時差がなくなった代わりに、ジャカルタとメダンに時差ができる。時差は消えたのではなく、場所を移しただけとも言えます。
それでも私は、ジャワ島をマカッサルに合わせる方が、全体として便利になる気がします。人口や経済の中心がジャワ島に集まっているからです。もちろん、これはマカッサルに住んでいる人間の、かなり身勝手な見方です。
妄想から、現実に戻ると
実際には、インドネシアでも2012年ごろに、全土をUTC+8に統一する案が検討されたことがあります。ただし、国民への周知の問題や否定的な反応などもあり、実施には至りませんでした。
シンガポールは1982年に、マレーシアに合わせて時計を30分進めました。経度だけでなく、隣国との往来や仕事の都合も、標準時を決める理由になるのです。
通勤、学校、礼拝の時刻表示、取引先とのやりとり、そして国内の時差。時計を1時間進めるだけなのに、考えることは意外と多そうです。
マカッサルからジャカルタへ連絡するときの「向こうは今、1時間前か」という計算。いつかこれをしなくてよくなる日が来るのか。それとも、このままずっと続くのか。
そんなことを考えながら、マカッサルの午後を過ごしています。