2025/10/29

夜を越えてマカッサルへ ― ガルーダ・インドネシア GA604便早朝フライト搭乗記

夜中のジャカルタからマカッサルへ。ガルーダ・インドネシア航空GA604便は、早朝6時過ぎにマカッサルへ到着する深夜便です。欠航で一夜を空港内のカプセルホテルで過ごし、体を休めて臨んだ早朝フライトは、静かな空の旅でした。朝焼けに包まれながら着陸する瞬間の美しさをお伝えします。

ガルーダ・インドネシア GA604便

長いトランジットの果てに、ようやく出発のときを迎えました。スカルノハッタ空港ターミナル3の出発ロビーは、深夜にもかかわらず多くの人で賑わっています。欠航によって一夜を過ごした「Digital Airport Hotel」からチェックアウトし、再出発へ。向かうのはガルーダ・インドネシア航空の早朝便GA604便、目的地はマカッサルです。

夜中の空港には、どこか特別な静けさがあります。照明の下に並ぶチェックインカウンター、床を滑るスーツケースの音、時折響くアナウンス。まるで「夜の出発を待つ人々の息づかい」が感じられました。

チェックインは大混雑 ― それでも無事に通過

午前1時30分、ガルーダの国内線チェックインカウンターに到着すると、すでに長蛇の列。深夜にも関わらずこの混雑ぶりには驚きました。欠航便の振替客も多かったのでしょう。スタッフの手際がよく、30分ほどで荷物を預けて搭乗券を受け取ることができました。

荷物を預け終えると、ようやく気持ちも軽くなります。

2時前にはセキュリティを通過し、制限エリアへ。搭乗ゲートは「12番」。ラウンジはこの時間すでにクローズしているため、静まり返ったターミナルのベンチで、出発を待ちながらしばし休息をとりました。照明の落ちた空間で、旅人たちがそれぞれの椅子で仮眠をとっている光景が印象的です。

2時30分、搭乗開始

気づくと搭乗案内が始まっていました。呼び出し放送も控えめで、静かに列が伸びていきます。機体はボーイング737-800型、登録記号PK-GMX。予約していた座席は後方窓側の45Kです。

機内に入ると、幸運なことに隣席も通路側も空席。3席すべてを使えるという贅沢な環境でした。「これなら少し横になれそうだ」と思いながら離陸を待ちます。

午前2時50分にドアクローズ、2時55分にタキシング開始、3時10分に静かに離陸。ジャカルタの街の明かりが遠ざかっていくのを窓越しに眺めながら、東の空の彼方に思いを馳せます。機内の照明は落とされ、オレンジ色の座席が夜の中でぼんやりと浮かび上がりました。隣に人がいない快適さも相まって、離陸直後からリラックスできる時間が続きます。

機内食

離陸からしばらくすると、軽食のサービスが始まりました。この時間帯でも温かい食事が提供されるのは、ガルーダらしい丁寧さです。今回は「アヤム（鶏肉）」を選択。ご飯に柔らかな鶏の煮込み、彩りのよい野菜が添えられています。湯気とともに立ちのぼるコーヒーの香りが、夜中のフライトに心地よく広がりました。

窓の外はまだ真っ暗ですが、時折、下にきらめく街の灯りが見えます。インドネシアの広大な島々を越えていく光景を想像しながら食事を終えると、自然とまぶたが重くなり、短い眠りに落ちました。

東の空が黄金に染まる瞬間

うとうとしながら目を開けると、外は淡いオレンジ色。時刻は5時50分、ちょうど降下を開始した頃です。窓の外には、夜と朝が混じり合う美しい空が広がっていました。

やがてシートベルトサインが点灯。滑走路に近づくにつれ、地上の景色がくっきりと見えてきます。マカッサルの海岸線と田園地帯が朝日に照らされ、黄金色に輝いていました。長いトランジットの疲れを一瞬で忘れさせてくれるほどの光景で、滑走路が見えた瞬間、「帰ってきた」という実感がこみ上げます。

マカッサル到着

タッチダウンはほぼ定刻どおりの6時23分ごろ。早朝のスルタン・ハサヌディン国際空港は、すでに活気に満ちています。

機内アナウンスが流れ、乗客たちはゆっくりと立ち上がります。まだ眠たげな表情の人が多い中、どこか安堵の空気が漂っていました。カプセルホテルで数時間休めたおかげで、身体は軽く、眠気もほとんどありません。ジャカルタから続いた長い夜を越えマカッサルに戻ってきました。

早朝フライトの魅力 ― 「疲れない移動」という選択

今回のフライトで改めて感じたのは、深夜便の便利さです。夜に出発し、朝に目的地へ到着することで、日中を丸ごと有効に使えます。ビジネスでも生活でも、このリズムはとても合理的だと実感しました。

さらに、空港内のカプセルホテルを併用すれば、長いトランジットも苦になりません。「寝る」「食べる」「飛ぶ」――それだけを淡々とこなしていくだけで、気づけば朝の光の中にいる。そんな旅の形がここにはあります。

再びマカッサルの街へ ― 日常のはじまり

ターミナルを出ると、朝の空気が心地よく肌を包みます。マカッサルの朝は穏やかで、少し湿り気を含んだ風が吹いていました。空港の外では、すでにオジェックやタクシーの運転手たちが客待ちをしています。街へ向かう人々の一日が静かに始まり、私のマカッサルでの日々もまたここからスタートです。長い夜を経ての帰還に、ほっと一息つきました。