インドネシアの謎ドリンク「Badak」とは?“薬のような味”の正体

Indonesia

インドネシア北スマトラで100年以上愛されるローカル飲料「Badak」。薬草のような香りと甘み、ほのかな苦味が特徴で、初めて飲むのにどこか懐かしい不思議な味わいです。歴史・文化・独特の製法、現地での飲まれ方、この“文化ドリンク”の魅力をお伝えします。

Badak=バダックの不思議な魅力

インドネシアのローカルレストランに入ると、ときどき「初めてなのに、どこか懐かしい」と感じる飲み物に出会うことがあります。
その代表が、インドネシア・北スマトラのローカル飲料 Badak(バダック) です。

見た目はダークブラウンの炭酸飲料。
ラベルには大きく描かれたサイ(Badak=インドネシア語でサイの意味)のマーク。
そして、ひと口飲むと広がる 薬草のような香りと甘み、ほのかな苦味。

初めて飲むと「何これ?」と驚くのに、しばらく経つと「また飲みたい」と思わせる――。
そんな不思議な魅力を持つ、100年以上の歴史を背負ったローカルドリンクです。

この記事では、Badak が生み出す“独特の体験”を、歴史・文化・味わいの視点から掘り下げ、実際飲んだ体験や現地の飲まれ方についても紹介します。

Badak(バダック)は単なる飲料ではない

Badak は北スマトラの生活文化そのものであり、“薬のような味”こそ100年以上愛され続ける理由です。

一見、不思議な飲み物に見える Badak が、時代の変化を乗り越えて今なお生き続けている背景には、

100年以上の歴史

文化としての価値

飲み方によって変化する味わい
という3つの要素があります。

100年以上続く北スマトラのアイデンティティ

Badak の誕生は 1916年ごろ。
オランダ統治時代、北スマトラ・シアンタルに設立された飲料工場がその起源とされています。

当時、コーラやサルサパリラのような炭酸飲料は“薬効を期待する飲み物”とされ、
ハーブやスパイスを使ったレシピが一般的でした。
Badak もその流れを受け継ぎ、現在でも レシピの核心部分はほとんど変わっていない と言われています。

北スマトラの人にとっての「故郷の味」

北スマトラ、とくにトバ・バタック族の家庭や行事では、Badak が日常的に登場します。

  • 家族の集まり
  • 宗教儀式
  • 結婚式
  • 友人同士の食事

多くのローカル飲料が姿を消していくなかでも、Badak が“なくてはならない存在”として残っているのは、
飲み物を超えて、生活文化に溶け込んでいるからです。

つまり Badak は、“飲む歴史”と言えるほど深く、人々の生活に根付いているのです。

「薬のような味」は歴史が生んだ必然

初めて飲む人を驚かせるのが、この飲み物の 独特の香りと味わい。

一般的なコーラやサルサパリラとも異なる、

ハーブ系の香り、

優しい甘み、

のどに残る苦味、
が組み合わさった、独特の“薬っぽさ”があります。

健康飲料としてのルーツ

20世紀初頭のヨーロッパでは、炭酸飲料は「滋養がある」「健康に良い」と信じられ、
薬草系ハーブが積極的に使用されていました。

Badak もその思想の影響を受けており、
現在の私たちには“薬のような風味”として感じられるのです。

クセがあるのに「また飲みたくなる」

Badak の最大の魅力は、この薬草感にあります。
甘みだけでなく苦味も感じられるバランスが、唯一無二の味わいを生み出しています。

100年以上愛されてきたのは、この特徴的な味が多くの人の記憶に残り、
「また飲みたい」と思わせる力があるからです。

現地ならではの「氷割り文化」が味を変える

実は Badak は、瓶から直接飲むよりも、氷をたっぷり入れて飲む方が美味しいと現地では知られています。

氷で割ると味がまろやかに氷を加えることで、甘さが控えめになる、ハーブの香りが柔らぐ、苦味の角が取れる。

そのため、“薬っぽさ”が弱まり、初めて飲む人でもかなり飲みやすくなります。

氷が溶けていくにつれ、味がさらに変化します。

「最初は濃くて薬っぽい → 氷が溶けてすっきり → 後味がほんのり残る」

この時間とともに変化するプロセスも、Badak を魅力的にしているポイントです。

単調な飲み物ではなく、“変化を楽しむ飲料”として受け継がれています。

初めて飲んだときの衝撃

私が Badak を初めて飲んだのは、バリのローカル食堂でした。
おすすめされた通り、氷入りのジョッキに注いで飲んだ瞬間、
「これはコーラでもサルサパリラでもない…薬?」
と驚きました。

しかし、数分後に氷が溶けると味はまろやかに変化。
最初の戸惑いが嘘のように、気付けばすべて飲み干していたのです。

北スマトラでは“必須アイテム”

北スマトラの友人は、
「Badak は家にいつも置いてある」
と話します。

宗教儀式や家族行事に欠かせないだけでなく、
故郷を離れた人が帰省するときに“お土産として買っていく”ほど。

実際、北スマトラのスーパーでは、
コカコーラやスプライトと並んで Badak が堂々と棚に並んでいます。
それだけ、地域に根付いた存在なのです。

まとめ:Badak は“歴史の味”であり文化の象徴

Badak は、単なる炭酸飲料ではありません。
北スマトラの歴史・文化・生活が凝縮された一本です。

薬草のような香りは好き嫌いが分かれるかもしれませんが、
100年以上愛され続けている理由は、味だけではなく、
そこに宿る 文化的背景と体験の深さ にあります。

一度飲んでみれば、その意味が実感できるはずです。

 

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