年明けの帰国は、静かに始まります。マカッサル空港で“整えてから”日本へ向かう夜
帰国の日は、いつも少しだけ空気が違う
年明けの帰国は、いつも少し静かです。
慌ただしさがあるわけでもなく、感傷に浸るほどの余裕があるわけでもありません。
ただ、「切り替える日」だということだけは、頭ではなく身体が先に理解している、そんな感覚があります。
海外生活が長くなるほど、帰国はイベントではなくなります。
それでも、身支度を整えアパートの鍵を閉める瞬間や、タクシーで移動のあいだに、確実にスイッチは入ります。
今回は、日本への帰国。
その始まりは、マカッサルのアパートから、静かな一台の車に乗り込むところからでした。
帰国の日は、音のしないタクシーで始まります
アパート前に迎えに来たのは、グリーンタクシー(EV)でした。
マカッサルでも徐々に見かけるようになってきた、電気自動車のタクシーです。

走り出してすぐに感じるのは、圧倒的な静けさでした。
エンジン音がないだけで、街の印象が大きく変わります。
バイクの排気音が遠くに聞こえ、信号待ちの空気の重さや、夕方特有の湿度までもが、いつもよりはっきりと伝わってきます。
帰国の日に、この静けさはよく合います。
騒がしく始まるよりも、こうして少しずつ気持ちを落としていくほうが、次の場所へ移る準備が整いやすいと感じます。
海外での生活を一度区切り、日本へ戻る。
その最初の一歩が、音のしないタクシーだったのは、偶然ではなく必然だったようにも思えました。
環境配慮や先進技術といった言葉よりも、
「静かで、余計なストレスがない」という点が、この空港の雰囲気とよく合っています。
帰国前の時間は、無駄に刺激が多いよりも、落ち着いていたほうが良い。
EVタクシーは、そんな帰国前の心理状態をよく理解している存在のように感じました。
市内を抜け、空港方面へ向かう道は、何度も通ってきたはずの景色です。
それでも帰国の日は、見え方が変わります。
屋台の灯り、道沿いの店、バイクの流れ。
すべてが「ここで過ごした時間」の集積のように見え、少しだけ距離が生まれます。
もうすぐ、この景色から物理的に離れる。
そう意識した瞬間に、日常だったものが、記憶に変わる準備を始めるのかもしれません。
マカッサル空港という、切り替え装置
スルタン・ハサヌディン国際空港に近づくと、あのモニュメントと大きな文字が視界に入ってきます。
「BANDAR UDARA INTERNASIONAL SULTAN HASANUDDIN」

この表示を見るたびに、身体が自然と“空港モード”に切り替わります。
空港は単なる移動の場所ではありません。
ここは、日常と非日常、滞在と移動、生活と旅を切り替えるための装置のような場所です。
特にマカッサル空港は、敷地が広く、緑も多く、どこか余白があります。
この余白があるからこそ、気持ちを落ち着かせながら出発を迎えられるのだと思います。

ガルーダチェックイン、その日の“流れ”
ターミナルに入ると、空間が一気に明るくなります。
天井のラインが長く伸び、視界が開けることで、自然と気持ちにも余裕が生まれます。
ガルーダのチェックインカウンターの配置や導線、案内表示の分かりやすさ。

こうした要素は、一つひとつは小さいものですが、積み重なると体感の快適さに大きく影響します。
並びが整理されているだけで、
「今日はこのままスムーズに進みそうだな」
そんな予感が生まれます。
旅の成功は、出発前に半分決まっているのかもしれません。

ブルースカイラウンジは、出発前のリセットボタンです
チェックイン手続きを終え、向かったのは BLUE SKY PREMIER LOUNGE です。

ここは派手さはありませんが、確実に“整う”空間です。
人の数が抑えられ、音が柔らかく、照明も落ち着いています。
椅子に座るだけで、自然と呼吸が深くなり、頭の回転が落ち着いていきます。

コーヒーを一杯飲みながら、
これから始まる移動に向けて、思考を一度リセットします。

ラウンジは、贅沢ではありません。
移動を快適にするための「準備室」だと考えています。
搭乗案内の時間が近づくと、ラウンジ利用者向けにバギー(空港内カート)の案内があります。
これは、ラウンジを利用している人だけが受けられる特権です。
マカッサル空港は広いため、搭乗口までの移動は意外と体力を使います。
このバギー送迎があることで、移動の負担は大きく軽減されます。

運転するスタッフの動きは慣れており、案内も的確です。
こちらが時間を気にしすぎる必要はなく、流れに乗っていれば自然と搭乗口に到着します。
こうした細やかなサポートがあることで、空港体験の質は確実に上がります。

ガルーダの搭乗が“スマート”に感じる理由
ゲート前に着くと、空気が一段階引き締まります。

ガルーダ・インドネシア航空の搭乗は、
・案内が分かりやすい
・人の流れが整理されている
・スタッフの所作が一定している
この「当たり前」が、しっかりと守られています。
その結果、搭乗はとてもスマートに感じられます。

余計なストレスがなく、自然な流れで機内へ入ることができます。
全員の搭乗が終わり、ドアが閉まります。
この瞬間は、いつも少しだけ気持ちが静かになります。
外の世界と切り離され、機内という“移動する空間”に入った感覚です。

帰国とは、何かを置いていくことではありません。
マカッサルで積み上げてきた日々を、そのまま持った状態で、日本へ向かうことだと感じています。
滑走路の灯りが線になって流れていくのを眺めながら、
マカッサル空港での時間は、ここで一区切りとなります。

出発までの時間こそが、いちばん旅らしい
飛行機の旅は、離陸してからが本番だと思われがちです。
しかし実際には、空港に着いてから出発するまでの時間こそが、最も「旅らしい時間」なのかもしれません。
「日本へ戻る準備」が整います。