マカッサル最古のビアガーデンKios Semarangでチキンウイングとビンタンで過ごす夜
マカッサルの夜を語るうえで欠かせないのが、ロサリビーチ沿いにある老舗食堂「Kios Semarang(キオス・スマラン)」です。なんと40年以上にわたって、マカッサルの人々に愛され続けてきた名店です。観光客が訪れるおしゃれなレストランとは少し違い、ここには昔ながらのローカルな雰囲気と温かみがあります。そしてこのお店の名物といえば、何といっても「チキンウイング(手羽先の唐揚げ)」。薄衣でカリッと揚がった香ばしいチキンは、冷えたビンタンビールとの相性が抜群です。マカッサルの夜風を感じながら味わう一皿は、まさに地元の味そのものです。
ロサリビーチ沿いに光る青い看板

ロサリビーチ沿いの通りを歩くと、「RM Kios Semarang」と書かれたその看板が、この店の目印です。RMとは「Rumah Makan(食堂)」の略で、気取らないローカル食堂を意味します。店の前にはバイクがずらりと並び、地元の人たちが次々と訪れます。店内に入ると、昔ながらのタイル張りの壁と鉄製のテーブルが並び、厨房からは油の香ばしい匂いが漂ってきます。壁には「Makassar Hash House Harriers」の看板が掲げられており、この店が1980年代から地元のランニングクラブの拠点にもなっていることがわかります。
その長い歴史とともに、マカッサルの夜を見つめてきた店なのです。
まずは冷えたビンタンビールで乾杯

席に着いたら、まずは定番の「ビンタンビール」で乾杯です。ここでは、定番の「Bintang Pilsener」と、少し珍しい「Bintang Anggur Merah(赤ブドウ味)」の2種類を楽しむことができます。キンキンに冷えた瓶をグラスに注ぐと、ピルスナーは透き通るような黄金色、アングル・メラはまるでワインのような深紅色。ピルスナーは軽やかで爽快な喉ごし、アングル・メラはほんのり甘く、ぶどうの香りが広がります。この2種類を交互に飲み比べながら、マカッサルの夜風を感じるのが最高のひとときです。
名物はカリッと香ばしいチキンウイング
そして、Kios Semarangを訪れるなら絶対に外せないのが「チキンウイング(Sayap Goreng)」です。赤い皿に山盛りに盛られた手羽先の唐揚げは、見るからに食欲をそそります。添えられたライムを軽く絞ると、爽やかな香りが立ち、カリッと揚がった皮とジューシーな肉の旨味が口いっぱいに広がります。衣は驚くほど薄く、サクサクと軽い食感。

噛むたびにあふれ出す肉汁と塩加減の絶妙なバランスがクセになります。どんなに食べても重たくならず、ビールとの相性はまさに完璧です。
メニューは豊富でローカル感たっぷり
Kios Semarangは、食堂らしくメニューの種類がとても豊富です。

チキンだけでなく、エビやイカ、さらにはカエルまで並ぶ多彩なラインナップ。「Udang Goreng Mentega(エビのバター炒め)」や「Cumi-cumi Goreng Tepung(イカのフリッター)」など、どれもRp.55,000(約500円)前後とリーズナブルです。また、ビールのおつまみにぴったりな「Kentang Goreng(フレンチフライ)」や「Kangkung Cah(空芯菜炒め)」も人気の定番メニュー。
麺類も充実していて、「Mie Goreng Hokkian(福建風焼きそば)」や「Bihun Goreng(米麺の炒め物)」、ご飯ものでは「Nasi Goreng Spesial(特製チャーハン)」などがあります。どの料理も派手さはありませんが、食べるたびに心がほっとする家庭的な味わいです。
1980年創業、マカッサル最古のビアガーデン

Kios Semarangは1980年に創業した、マカッサルで最も古いビアガーデンのひとつです。創業当初からビンタンビールを提供し続け、今も変わらず地元の人々に愛されています。ローカルの常連客たちはビールを片手に語らい、時には家族連れが食事を楽しみ、夜遅くまでにぎわいが絶えません。この店は、地元の人々にとって“特別な場所”となっています。

おしゃれな装飾や最新の音楽はありませんが、どこか懐かしい雰囲気があり、まるで時間が止まったかのような心地よさがあります。
観光客がまだ少なかった時代から、マカッサルの夜を支えてきた歴史を感じられます。ロサリビーチの夜風に吹かれながら、ゆっくりとグラスを傾ける時間は格別です。この組み合わせこそ、マカッサルの夜を象徴する最高のペアリングだと思います。
食事を終えて外に出ると、潮風が頬を撫で、店の青い看板がやさしく光っています。観光地の喧騒から少し離れたこの場所で、ローカルの夜が静かに息づいています。特別な演出があるわけではありませんが、心からリラックスできる時間がここにはあります。それこそが、この店が長く愛されてきた理由なのだと思います。
まとめ

「Kios Semarang」は、1980年創業のマカッサル最古のビアガーデンです。名物のチキンウイングは、薄衣でカリッと揚がり、ジューシーな旨味が広がる最高の一皿。冷えたビンタンビールとともに味わえば、ロサリビーチの夜がよりいっそう特別なものになります。おしゃれな店ではありませんが、ここには“本物のマカッサル”があります。観光で訪れた方にも、地元の暮らしを感じたい方にもぜひおすすめしたいお店です。潮風と笑い声に包まれながら、Kios Semarangで過ごす夜は、きっと忘れられない思い出になるでしょう。