「インドネシア移住はコスパ最高」はもう古い!現地生活で感じる“静かなインフレ
数年前まで、日本人の間では「インドネシア移住=コスパ最高」というイメージが強くありました。
暖かい気候。
親切な人々。
安いご飯。
安いタクシー。
広い家。
そして、日本より圧倒的に安い生活費。
実際、私自身も2021年にインドネシア・マカッサルへ移住した当初は、「これは日本よりかなり生活コストが低い」と感じていました。
しかし、2026年現在。
その感覚は少しずつ変わってきています。
もちろん、今でもローカル屋台で食べれば安いですし、地方都市では日本より安価な部分も多くあります。
ですが、実際に生活していると、以前ほど「安い国」とは感じなくなってきました。
特に、
「日本人が使う生活圏」
の価格上昇がかなり目立っています。
Grabの料金。
国内線航空券。
日本食レストラン。
ショッピングモール。
カフェ。
輸入食品。
さらには家賃まで。
しかも、この値上がりは日本のようにニュースで大騒ぎされるわけではありません。
気づけば少しずつ高くなっている。
まさに“静かなインフレ”です。
今回は、マカッサルで5年間生活し、実際に現地で事業も行っている私の視点から、「今のインドネシアは本当に安い国なのか?」について、リアルに書いてみたいと思います。
「インドネシアは安い国」というイメージ
日本では今でも、
「東南アジア=安い」
というイメージがあります。
特にインドネシアは、
屋台のご飯
激安マッサージ
格安タクシー
安い家賃
人件費が安い
といった印象を持つ人が多いと思います。
確かに、それは間違いではありません。
ローカル市場へ行けば、今でも驚くほど安く野菜や魚を買うことができます。
屋台で食べれば、一食200〜300円程度で済むこともあります。
しかし、ここで重要なのは、
「旅行者目線」と「居住者目線」は全く違う
ということです。
旅行中は、安いローカル屋台や観光価格を見て「インドネシアは安い」と感じます。
ですが、実際に住み始めると、日本人が普段利用する生活圏は、そこまで安くないことに気づきます。
Grabが以前ほど安くない
個人的に最も変化を感じるのが、GrabやGojekの料金です。
以前は、
「タクシー感覚で毎日乗っても安い」
という感覚がありました。
しかし最近は、雨・渋滞・通勤時間帯になると、かなり料金が上がります。
特にジャカルタやバリでは、日本の地方都市のタクシーと大差ないレベルになることも珍しくありません。
マカッサルでも以前より確実に高くなりました。
もちろん、日本円換算すればまだ安い部分はあります。
ですが問題は、日本人側も円安で苦しくなっていることです。
数年前なら、
「1万円=130万ルピア」
近かった感覚が、現在では1万円=100万ルピア前後と大きく変わっています。
つまり、
インドネシアの物価上昇
+
日本円の弱体化
のダブルパンチです。
国内線航空券が高すぎる
これはインドネシア在住者なら共感する人も多いと思います。
インドネシア国内線、かなり高いです。
しかもLCCでも普通に高い。
例えば、
マカッサル〜ジャカルタ
ジャカルタ〜バリ
地方都市間移動
などは、タイミングによっては日本国内線並みになります。
特に繁忙期は驚くほど高騰します。
以前は、
「東南アジアは移動費が安い」
という感覚がありました。
しかし現在のインドネシアは、島国であることもあり、物流コストや燃料価格上昇の影響を強く受けています。
さらに、ルピア安によって航空会社側のコストも上昇しています。
結果として、インドネシア国内移動は、以前ほど“気軽”ではなくなってきました。
日本食はむしろ日本より高い
これも最近強く感じます。
インドネシアの日本食は高いです。
ラーメン。
寿司。
焼肉。
牛丼。
カレー。
もちろんローカルチェーンは比較的安いですが、本格的な店へ行くと、日本より高く感じることも珍しくありません。
特に輸入食材を使う店は、円安と輸入コスト上昇の影響をかなり受けています。
さらに最近のインドネシアでは、中間層の拡大によって、日本食需要自体が増えています。
つまり、
「外国人向け高級料理」
ではなく、
「インドネシア人中間層が普通に食べる料理」
へ変わりつつあるのです。
これはインドネシア経済成長の象徴でもあります。
カフェ価格が日本並みになってきた
インドネシアは今、空前のカフェブームです。
マカッサルでも、おしゃれカフェが次々にオープンしています。
そして驚くのが価格です。
以前なら、
「東南アジアだからカフェも安い」
という感覚がありました。
しかし現在は、
スタバ
高級ローカルカフェ
などは、日本と大差ない価格帯になっています。
それでも店内は若者で満席です。
ここに、インドネシア中間層の成長を感じます。
昔のインドネシアでは、
「外でコーヒーを飲む」
こと自体が特別だったかもしれません。
しかし今は、
「カフェで過ごす時間」
そのものにお金を払う文化が急速に広がっています。
QRIS普及で「便利な国」になった
以前のインドネシアは、
「安いけど不便」
という国でした。
しかし今は違います。
QRISの普及によって、屋台ですらQR決済できる時代になりました。
これは本当に革命的です。
現金を持たなくても生活できる。
しかも地方都市でも普通に使える。
これは数年前では考えられませんでした。
ただ、その一方で思うのです。
便利になれば、当然コストも上がる。
人件費。
システム費。
物流。
サービス品質。
インドネシアは今、
「安さ重視の国」
から、
「便利さと快適さを求める国」
へ変化している途中なのかもしれません。
「安い国ではなくなった」は悪いことなのか
私は、これは必ずしも悪いことではないと思っています。
むしろ、インドネシアが成長している証拠です。
中間層が増え、
車を買う
iPhoneを持つ
カフェに行く
モールで消費する
日本食を食べる
こうしたライフスタイルが一般化してきています。
つまり、
「安い労働力の国」
から、
「巨大消費市場」
へ変わりつつあるのです。
これは日本企業にとっても非常に大きな変化です。
昔のように、
「安いから進出する」
だけでは通用しなくなっています。
それでも私はインドネシアに魅力を感じる
正直、以前ほど「安い国」とは感じなくなりました。
ですが、それでも私はインドネシアに大きな魅力を感じています。
人のエネルギー。
経済成長の勢い。
若い人口。
街の変化スピード。
日本では感じにくくなった“活気”があります。
そして今のインドネシアは、
「安い国」
ではなく、
「成長している国」
として見るべき段階に入ってきたのかもしれません。
インドネシア移住は、確かに以前ほど“コスパ最高”ではなくなりました。
しかしその代わり、この国には今、大きな時代の変化そのものが存在しています。
私は、その変化をマカッサルで日々感じながら生活しています。