【2026年ラマダン開始】マカッサルで娯楽施設が一時閉鎖―それでも経済が止まらない理由
ラマダンが始まるマカッサルの“静と動”
いよいよ、ラマダンが始まります。
マカッサルに暮らしていると、この季節の訪れははっきりとわかります。
スーパーの棚にデーツ(ナツメヤシの実)が山積みになり、
モールには緑と金を基調とした装飾が増え、
テレビではラマダン特番が流れ始める。
そして、市政府からは娯楽施設の一時閉鎖に関する通達が出ます。
今年も、カラオケやマッサージ店などがラマダン期間中に閉鎖されると報じられました。
ニュースだけを見ると「規制」という言葉が先に立ちます。
しかし、この街で生活していると、それは単なる制限ではなく、都市のリズムが切り替わる合図のように感じられます。
ラマダンが始まるということ
ラマダンはイスラム暦9番目の月。
日の出から日没まで飲食を断つ神聖な期間です。
2026年は2月19日から始まる予定。
月が確認され、正式に開始が宣言されると、翌朝から街の空気が変わります。
朝のワルン(食堂)は閉まり、
昼の飲食店はカーテンを引き、
人々の動きはどこか静かになります。
クラクションが少し減り、
昼間のカフェは控えめに営業する。
しかし、街が止まるわけではありません。
エネルギーは、夕方に向けて蓄えられていきます。
日没前の独特な高揚感
午後5時を過ぎると、空気が変わります。
道路は少し混み始め、
家族は急ぎ足で帰宅し、
屋台には揚げ物や甘い飲み物が並びます。
バナナの揚げ物、コラック(甘いデザート)、シロップドリンク。
イフタール(断食明けの食事)の準備です。
アザーンが流れた瞬間、街は一斉に緩みます。
水を一口飲む。
デーツを食べる。
笑顔が広がる。
この瞬間の一体感は、何度見ても特別です。
観光では見えない、生活のリズムです。

止まるのは「夜の娯楽」
今回閉鎖対象となったのは、
・カラオケ
・ナイトクラブ
・ディスコ
・バー
・一部ビリヤード
・マッサージ
いわゆるナイトエコノミーです。
大音量やアルコールを伴う娯楽は、断食月の精神性にそぐわないとされます。
ネオンは消え、音楽は止まります。
夜の繁華街は確かに静かになります。
しかし、経済は止まらない
ここが重要です。
ラマダンは経済が停滞する月ではありません。
むしろ、消費の方向が変わる月です。
▼ 減少するもの
・ナイト産業売上
・アルコール関連消費
・夜間娯楽
▼ 増加するもの
・食品販売
・衣料品(新しい服でレバランを迎える)
・贈答品
・帰省(ムディック)関連支出
・カフェ・レストラン(断食明け時間帯)
特にレバラン前は、モールが爆発的に混雑します。
新しい服を買い、家族への贈り物を準備する。
マカッサルは観光依存都市ではありません。
港湾、物流、教育、行政、地元消費。
内需主導型の都市です。
だからこそ、夜が静かでも、経済は動き続ける。
マカッサルという街のバランス感覚
この街は、宗教と経済の距離感が絶妙です。
強く信仰を守りながらも、ビジネスは合理的。
断食をしながら仕事をする人も多い。
昼は静かに、夜は家族中心に。
社会全体のスピードが少し落ちる代わりに、
人のつながりが強くなる。
私はこの季節が好きです。
昼は穏やかで、
夕方は高揚し、
夜は落ち着く。
都市の呼吸がはっきり見える月。
「規制」ではなく「リズム調整」
外から見ると、「宗教による制限」と映るかもしれません。
しかし、住んでいると違います。
これは社会のリズム調整。
夜の娯楽が止まる代わりに、
家族の時間が増える。
アルコールが減る代わりに、
甘い飲み物が増える。
騒がしさが減る代わりに、
祈りの声が増える。
経済は止まらない。
形を変えて流れるだけ。
ラマダンは「我慢の月」ではない
ラマダンは単なる苦行ではありません。
1年を振り返り、
家族と時間を共有し、
心を整える月。
そして、断食明けのレバランには大きな祝祭が待っています。
静けさの中で、エネルギーが蓄えられている。
その準備期間でもあります。
まとめ
娯楽は止まる。
しかし経済は止まらない。
ネオンは消える。
しかし家族の灯りは増える。
ラマダンが始まると、街の表情は確実に変わります。
けれど、その静けさの中で、
別の活気が動き始めている。
これが、マカッサルのリアルです。
宗教と経済は対立しない。
共存し、形を変えながら流れ続けている。
ラマダンは、この街の本質を見せてくれる季節なのかもしれません。
