この街では、「どこに泊まるか」が思っている以上に大事です。
今回のジャカルタ出張では、SemanggiにあるAryaduta Suites Semanggiを拠点にしました。
理由は、ホテルが新しいからでも、豪華だからでもありません。
歩けるからです。
ジャカルタでは、これがかなり重要です。
ジャカルタでは、距離と時間が比例しない
今回の出張では、たまたま商談先がSemanggi周辺に集まっていました。
ホテルを出て、歩いて商談先へ向かう。
次の予定にも、また歩いて向かう。
今回、ジャカルタ出張なのに、ほとんどタクシーに乗りませんでした。
歩道橋を渡って下を見ると、いつもの光景が広がっています。
車、車、車。
何車線もある道路を、びっしりと車が埋めています。
ジャカルタ名物の渋滞です。
これを見ると、
「この中に入らなくていい」
と思うだけで、少し気持ちが楽になります。
ジャカルタでは、地図で見るとすぐそこなのに、車に乗った途端、いつ着くのかわからなくなることがあります。
商談が10時なら、何時にホテルを出ればいいのか。
30分前でいいのか。1時間前なのか。それとも、もっと早く出た方がいいのか。
何度もジャカルタに来るうちに、この渋滞をなんとか攻略しようと、いろいろ試しました。
時間をずらしてみたり、Grabを使ったり、Bluebirdに乗ったり。
でも最近、一番確実なのは、
「そもそも車に乗らなくていい場所に泊まること」
なのではないかと思うようになりました。
ここ2回のジャカルタ出張は、Semanggiを拠点にしています。
これが思った以上に快適でした。
商談先まで歩ける。
モールにも歩いて行ける。
日本食を食べたくなっても、徒歩圏内にいろいろあります。
そして、ホテルの敷地内にはファミリーマートまであります。
出張中は、こういうことが意外と大事です。
朝から商談が続いてホテルへ戻り、「水を買いたい」「ちょっと何か食べたい」と思ったときに、また車に乗らなくていい。
ほんの数分歩けば済みます。
一つひとつは小さなことなのですが、それが積み重なると、出張の疲れ方がかなり違います。
今回泊まったAryaduta Suites Semanggiは、最新のホテルという感じではありません。
建物にも、部屋にも、それなりに年季を感じます。
エアコンを見ても、
「ああ、結構長く頑張っているな」
と思います。
でも、部屋は広い。
リビングがあって、寝室があって、キッチンもあります。
普通のホテルというより、サービスアパートメントに近い造りです。
ピカピカの最新ホテルではありませんが、数日滞在するには、この広さがありがたい。
商談から戻ってきて、ベッドしかない部屋で過ごすのと、ソファに座って少し仕事をしたり、コーヒーを飲んだりできるのとでは、気分が違います。
多少古くても、滞在するうえで大きな不便はありません。
ホテルを選ぶとき、つい「新しい」「きれい」「豪華」といったところに目が行きます。
でも出張で何日か過ごすなら、立地と広さの方が大事なのかもしれません。
そして、このホテルで気に入っているのが、高層階からの景色です。
朝、カーテンを開けると、高層ビルが並び、その下を大量の車が流れています。
夜になると、オフィスビルに明かりが灯り、昼間とはまったく違う街に見えます。
きれいです。
ただ、その下では夜になっても車が走り続けています。
部屋から眺めている分にはきれいな夜景なのですが、あの車の一台に乗っていると思うと、少し気分が違います。
だから余計に、
「今日は歩いて帰ってこられてよかった」
と思うのかもしれません。
ジャカルタは便利です。
食べるものにも困らない。
日本食もたくさんある。
仕事をするなら、ジャカルタにいる方が圧倒的に効率がいいこともあります。
それでも、数日いると、不思議とマカッサルに帰りたくなります。
理由をうまく説明するのは難しいのですが、マカッサルにいる方が、心が穏やかです。
ジャカルタでは、街全体が常に動いているように感じます。
車が走り、人が動き、仕事が動いている。
そのスピード感は刺激的です。
でも、その中にずっといると、知らないうちに自分まで急かされているような気分になります。
マカッサルに戻ると、それが少し緩みます。
もちろん、マカッサルにも渋滞はあります。
不便なこともたくさんあります。
それでも私にとっては、あちらの方が「暮らす場所」になっています。
ジャカルタは仕事をする街。 マカッサルは暮らす街。
いつの間にか、自分の中ではそんな分け方になっているのかもしれません。
だからといって、ジャカルタが嫌いなわけではありません。
何度も来ているうちに、少しずつ付き合い方がわかってきました。
渋滞を攻略しようとしない。
渋滞しない時間を完璧に読もうとしない。
渋滞に巻き込まれなくても済む場所を選ぶ。
今回、Semanggiに泊まって、商談先まで歩き、食事にも歩いて行き、夜は高層階からジャカルタの街を眺める。
それだけで、いつものジャカルタ出張よりずいぶん楽でした。
大都市を、自分に合わせようとしても無理があります。
だったら、自分の動き方を少し変えればいい。
ジャカルタに来るたびに「どうすれば疲れないか」を考えてきましたが、最近ようやく、自分なりの答えが見えてきた気がします。
たぶん次の出張でも、私はSemanggi周辺を選ぶでしょう。
そして数日仕事をして、
「やっぱりジャカルタは便利だな」
と思いながら、
最後にはきっと、
「そろそろマカッサルに帰ろう」
と思っているはずです。