さっき、ミーアヤムを食べてきました。
おいしくて、お腹もいっぱい。それなのに、店を出てしばらくすると、もう次の一杯のことを考えています。
私はラーメンを食べたあとは、「しばらくいいかな」と思うことがあります。でも、ミーアヤムはそうなりません。この違いが気になって、今日食べた一杯を思い返してみました。
インドネシアで鶏肉を載せた麺料理としてよく見かけるのが「ミーアヤム」です。店名やメニューに「バクミー」を使う店もあり、今回行った「Bakmi Maja」もそのひとつです。
場所はペンギブール通りで、ロサリ海岸のすぐ近くです。食べたあとに海沿いを少し歩いて帰れます。
この店は鶏肉の味付けが何種類かあって、鶏肉ときのこの定番メニュー、辛いリカリカ、それにカレー風味の鶏グライがあります。鶏グライのバクミーはほかの店ではあまり見かけないそうで、地元のグルメ記事でも珍しい一品として取り上げられていました。
注文すると、麺の器とスープの器が別々に出てきます。
日本のラーメンに慣れていると、つい麺をスープに入れたくなりますが、最初はそのまま食べます。
器の底にたまったタレと油を、麺によく絡めます。鶏の甘辛い味が麺に移っていて、スープがなくても十分おいしいです。麺はほどよい太さで、噛むともちっとしています。箸で持ち上げると、タレをまとった麺につやがあって、それだけでお腹が空いてきます。
麺の上には、味付けの違う鶏肉が何種類かと、青菜、揚げワンタンが載っていました。
鶏肉と一緒に食べると、タレの甘辛さに肉のうま味が加わります。別の鶏肉に箸を伸ばすと、同じ麺なのに味がずいぶん変わります。青菜をはさむと口の中が少しさっぱりして、揚げワンタンはパリッと軽い歯ざわりです。
次はどれと一緒に食べようか、と考えながら箸を動かしていると、気づけば、麺はもう半分ほどなくなっていました。
ここでやっとスープの出番です。
全部かけてしまうのではなく、麺を少しずつスープにくぐらせて食べます。タレの甘辛さがやわらいで、鶏のだしの香りがふわっと立ちます。
さっと浸すとタレの味が残り、長めに浸すとラーメンに近い味になります。どのくらい浸すかは自分で決められるので、一口ごとに加減を変えて食べました。
終盤には、サンバルを少し足します。辛さで味が締まって、また箸が進みます。
思い返すと、最初のひと口から最後まで、同じ味で食べた時間がほとんどありませんでした。食べ終わったのに、まだ試していない組み合わせが残っているような気がします。私の「また食べたい」は、たぶんそこから来ています。
インドネシアに『Seporsi Mie Ayam Sebelum Mati』というベストセラー小説があります。直訳すると「死ぬ前の一杯のミーアヤム」。人生に疲れた主人公が、最後にミーアヤムを食べようとするところから物語が始まります。
この小説を紹介する記事やSNSの投稿には、「Jangan mati dulu, mie ayam masih enak(まだ死なないで。ミーアヤムはまだおいしいよ)」という一言がよく添えられています。
初めて聞いたときは大げさだなと思いました。でも、食べたばかりなのにもう次の一杯を考えているのだから、あの言葉を笑えません。また食べに来ようと思える店があるのは、やっぱりうれしいです。
ミーアヤムを食べることがあったら、最初はスープに入れずに麺だけで食べてみてください。それから具と一緒に、途中でスープに浸して、最後にサンバルを少し。
たぶん店を出るころには、もう一杯食べたくなっていると思います。
Bakmi Maja(Penghibur店)
Jl. Penghibur, Makassar