インドネシアに住んでいると、誰もが一度は感じる光景があります。
超高層ビルが並ぶビジネス街のすぐ隣に、昔ながらの住宅地やカンポン(庶民の住宅街)が広がる景色です。
高級車が行き交う通りのすぐ横で、屋台が並び、バイクタクシーのドライバーが客を待つ。
このコントラストこそが、インドネシア社会の大きな特徴です。
インドネシアは現在、人口約2.8億人を抱える世界有数の人口大国であり、経済成長も続いています。しかしその一方で、富の格差が非常に大きい国としても知られています。
実際、世界の調査でもインドネシアは「富の集中度が高い国」の一つとされています。
なぜインドネシアでは、金持ちは極端に金持ちになりやすい社会なのでしょうか。
その背景には、歴史、経済構造、雇用環境など、いくつかの理由があります。
インドネシアの経済は、実はかなり特徴的です。
多くの産業が、限られた企業グループによって支配されています。
代表的なのは
といった産業です。
これらの分野では、巨大な企業グループが市場を支配しています。
つまり、利益が広く分散するのではなく、特定の企業や家族に集中しやすい構造になっているのです。
インドネシアでは、いわゆる「財閥」と呼ばれる企業グループが強い影響力を持っています。
例えば
などの巨大企業です。
これらの企業は
など複数の事業を持つ巨大コングロマリットです。
つまり、一つの企業グループが多くの産業を支配することで、富がさらに集中する構造になっています。
もう一つ大きな理由が雇用の質です。
インドネシアでは、安定した正規雇用がまだ少なく、多くの人が次のような働き方をしています。
このような働き方では、収入が安定しにくく、資産を築くのも難しくなります。
一方で、企業オーナーや投資家は、事業の拡大によって資産を急速に増やすことができます。
この差が、格差を広げる大きな要因になっています。
都市部では、不動産価格の上昇も格差を広げています。
特に首都のジャカルタでは、ここ10年で不動産価格が大きく上昇しました。
その結果
不動産を持つ人は資産が増える
持たない人は住宅を買えない
という構造が生まれています。
つまり、資産を持つ人ほどさらに豊かになる仕組みです。
インドネシアでは富裕層は人口の約1%と言われています。
人口2.8億人のうち約300万人程度です。
しかし、この少数の富裕層が
高級住宅
高級車
ラグジュアリー消費
などの市場を支えています。
つまり、インドネシア経済は、巨大な人口+少数の富裕層という構造なのです。
格差が大きいとはいえ、インドネシア経済は依然として成長しています。
その理由は国内消費です。
インドネシアのGDPの約半分以上は家計消費によって支えられています。
つまり
中間層
下位中間層
の消費が経済を支えているのです。
現在、インドネシアでは
8,000万人以上
が「中間層予備軍」と呼ばれる層に属しています。
もし
雇用の質が改善する
賃金が上がる
と、この層が一気に中間層に移行する可能性があります。
そうなれば、インドネシアはさらに巨大な消費市場になります。
インドネシアで格差が大きい理由は、主に次の通りです。
こうした要因によって、インドネシアでは
「金持ちは極端に金持ち」
という社会構造が生まれています。
しかし同時に、巨大な人口と若い労働力を持つインドネシアは、今後さらに経済成長を続ける可能性を秘めています。
その未来は、中間層がどれだけ拡大するかにかかっていると言えるでしょう。