まだ真っ暗な、朝4時。
JL720便の出発は6時30分。ジャカルタからは、遅くともこの時間にホテルを出なければ間に合わない。眠気の残る頭でタクシーに乗り込み、窓の外を見る。まだ真っ暗な時間だからこそ、いつもなら渋滞する道も、この時間だけはすっと通り抜けられる。市内から空港まで、わずか30分。チェックインを済ませ、搭乗口に向かう頃には、空がようやく白み始めている。
JL720便。ジャカルタ発、成田行き。
この便の良さは、乗ってみないとわからない。夜行便ではないから、機内で無理に眠る必要がない。窓の外には昼間の空が広がり、雲の上を飛びながら、ぼんやりと本を読んだり、これまでのことを考えたりできる。成田には16時05分着。そのまま茨城まで、その日のうちに帰り着ける。
夜行便のように、眠れないまま朝を迎え、その日一日のリズムが崩れてしまうこともない。
ジャカルタと成田のあいだは、これまで何十往復してきたかわからない。それだけ乗ってきた区間だからこそ、720便・729便という組み合わせの良さが、身体でわかっていた。だからこそ今回は、単なる1路線のダイヤ改定というより、何十回と積み重ねてきた自分の移動の歴史そのものが、ひとつ終わっていくような寂しさがある。
帰りに使うJL729便もよかった。成田を18時05分に出るから、日本での一日を夕方近くまで使い切れる。茨城を昼の12時過ぎに出発すれば、余裕を持って間に合う。ジャカルタ到着は23時55分と遅いけれど、入国後、そのまま早朝の国内線に乗り継げば、朝にはマカッサルへ戻っている。
茨城―成田―ジャカルタ―マカッサル。この行き来に、720便と729便は、まるで誂えたようにはまっていた。
その720便と729便が、2027年3月末から始まる夏ダイヤで運休になる。JAL公式発表によれば、ジャカルタ線の自社運航便は週11往復から週7往復へ減便される。FlyTeamやtraicyといった航空専門メディアも、このダイヤ改定を相次いで報じていた。公式発表を見たとき、正直、寂しさが先に立った。
減便後、残るのは実質この1往復だけになる。
JL725:成田11:15 → ジャカルタ17:05
JL726:ジャカルタ21:50 → 成田7:25+1
ガルーダ運航便へのJALコードシェアは残るものの、「JALの機材とサービスで飛ぶ便」は週7往復まで絞られる。インドネシアに暮らす身としては、単に選択肢がひとつ減る以上の寂しさがある。
振り返ってみると、この路線の便数は決して一本調子で減ってきたわけではない。2025年春には一時、1日2往復、週14往復まで増えた時期があり、その後は週11往復に落ち着いた。増便の流れが続くのかと思っていた矢先の、今回の週7往復への縮小だった。結局、増えては減りを繰り返し、また1日1往復の体制に戻ってしまったことになる。
思えば、この路線はこれまでも増便と減便を繰り返してきた。だから今回も、これで終わりだとは思っていない。しばらくすれば需要が戻り、また便数が積み増される日が来るはずだと、どこかで期待している。
なぜ、この2便がなくなるのか。JALから詳しい理由は示されていない。
私が乗ったときは、ガルーダとのコードシェアで利用するインドネシア人が多く、日本人はそれほど多くなかった。座席が埋まっているように見えても、航空会社として採算が合っていたのかどうかはわからない。
残るJL726便は、ジャカルタを夜に出て、成田に朝着く。一般的には、この時間の方が便利なのかもしれない。
でも私は、夜行便があまり得意ではない。機内でうまく眠れず、朝早く日本に着いても、その日はずっと調子が戻らない。
それよりも、朝のジャカルタを出て、昼間の空を飛び、夕方に成田へ着く720便の方がよかった。
航空会社にとって、どの便を残すのが正解なのかはわからない。ただ、私の生活に一番合っていた便がなくなる。それが寂しい。
渋滞のないジャカルタの朝を抜けて、昼間の空の上で目を開けたまま日本へ帰る。
あの時間の流れを味わえるのも、来年3月までになった。
720便、729便。
結構好きだったんですけどね。
参考
JAL「東京(成田・羽田)―ジャカルタ路線の運航便数変更について」