今朝、外に出ると、いつもならはっきり見える遠くの建物が、白っぽくぼんやりしていました。
マカッサルの朝は、もともと湿気の多い日があります。ただ、最近インドネシアのニュースで「ヘイズ」という言葉をよく見かけます。霧なのか、煙なのか。気になって調べてみました。
霧の正体は、空気中の小さな水滴です。気温が上がれば、たいてい薄れていきます。
一方、ヘイズは、細かな粒子が空気中に漂い、景色がかすんで見える状態です。インドネシアで問題になっているのは、主に森林や土地の火災から出た煙によるヘイズです。インドネシア語では「kabut asap(カブット・アサップ)」、煙の霧と呼ばれています。
どちらも景色が白くかすむことがあります。ただ、煙の場合は、PM2.5と呼ばれる直径2.5マイクロメートル以下の細かな粒子を吸い込んでしまうことが問題になります。この粒子は肺の奥まで入り込みます。
今朝のモヤが霧だったのか煙だったのかは、見ただけでは分かりません。
インドネシアでは乾季になると、毎年のように森林・土地火災が起きます。ニュースでは「karhutla(カルフトラ)」という略語をよく目にします。
原因のひとつは、土地を開くときの火入れです。草木を燃やして片づけるほうが、機械を入れるより安く済みます。ただ、乾いた時期には、その火が周りへ燃え広がってしまうことがあります。企業による開発だけでなく、小規模農家の火入れなども関係しており、火災の発生源はさまざまです。
特に厄介なのが「泥炭地(gambut)」です。泥炭は、植物の残骸が分解されきらないまま、長い年月をかけて積み重なった土です。本来は水をたっぷり含んでいますが、排水して畑にしたり、雨が少なくて地下水位が下がったりすると、乾いて燃えやすくなります。
泥炭に火がつくと、地面の中でくすぶり続けます。表面の炎を消しても地中で燃え続けて煙を出し、しばらくして別の場所から火が出ることもあります。泥炭地では、木や草だけでなく、土の中の泥炭まで燃えるため、表面の火を消すだけでは済みません。
今年はエルニーニョの影響で雨が少なく、状況は深刻です。9月のReutersの報道によると、保健省の説明で、火災に関連する呼吸器疾患の報告は9月9日時点で11万件を超え、7つの州で約1,250万人が煙にさらされたとのことでした。
10月3日のdetikSulselの記事では、BMKG(インドネシア気象気候地球物理庁)のマロス観測地点でPM2.5が55.7µg/m³を記録し、マカッサル周辺の空気は「中程度から不健康」の状態だったと伝えています。深夜から午前中にかけて悪化し、その日は昼ごろに改善したそうです。
BMKGの説明では、煙がどこから来るかは風向きで変わります。西寄りの風ならカリマンタンから、東寄りの風ならパプアやマルク方面から。南スラウェシ州内のバンタエンやパンケップなどの火災も影響しうるとしています。
カリマンタンとマカッサルの間には海があります。それでも、風向きによっては煙が届くそうです。
今朝のモヤも、煙の影響だった可能性はあります。ただ、霧や街の排ガスなども考えられるので、原因は分かりません。
ヘイズは、見通しが悪くなるだけでなく、健康にも影響します。
目や喉の痛み、咳、頭痛、息苦しさ。喘息がある人は症状が悪化することもあります。子どもや高齢者、妊娠中の方、心臓や呼吸器に持病のある方は特に注意が必要です。外で働く人も影響を受けやすくなります。
煙のひどい地域では、学校が休校やオンライン授業に切り替わったり、視界が悪くて飛行機や船の運航に影響が出たりしています。火事が起きていない街でも、風下にあれば暮らしに影響が出ます。
天気だけでなく、空気も確認する
景色がかすんでいる日は、BMKGの大気質情報でPM2.5の数値を見るのがよさそうです。近くの観測地点と、測定した時刻も確認します。アプリによってはAQIという別の指数で表示されるので、何の数字なのかも見ておく必要があります。「PM2.5が55」と「AQIが55」は、同じ意味ではありません。
空気が悪い日は、外での運動や長時間の作業を控える。窓を閉めて、空気清浄機があれば使う。外に出る必要があるときは、顔に密着するN95などのマスクを使う。布マスクや一般的な不織布マスクは、煙の微粒子に対する防護が限られるそうです。
マカッサルに住んで5年。朝のモヤを見ても、これまでは湿気のせいだと思っていました。
これからは景色がかすむ日に、天気だけでなく、PM2.5の数値も確認してみようと思います。
参考・出典