インドネシアで仕事を始めて、最初に何度も混乱したことがあります。
それは、
「できます」
と言われたのに、進んでいないことでした。
確認すると、
「はい、大丈夫です」
「OKです」
「後でやります」
しかし翌日になっても終わっていない。
日本人の感覚だと、
YES=了解・実行される
です。
しかしインドネシアでは、必ずしもそうではありません。
最初は、
「なぜやらないのか?」
「無責任ではないか?」
と思っていました。
しかし、長く生活する中で気づいたのです。
これは“怠け”ではなく、文化の違いなのだと。
なぜインドネシア人は断らないのか?
なぜ「YES」と言うのか?
マカッサルで働く中で感じた、
日本人が最も戸惑う“YES文化”について解説します。
日本人は比較的ストレートに断ります。
「難しいです」
「できません」
「今回はやめておきます」
しかしインドネシアでは、
直接的なNOはかなり強い言葉として受け取られます。
相手との関係を壊す可能性があるからです。
そのため、
「はい」
「あとで」
「考えます」
という曖昧な返答が増えます。
つまり、
YES=同意
ではなく、
YES=空気を壊さない返事
の場合があるのです。
ここを理解していないと、日本人はかなり混乱します。
日本では、
仕事
ルール
責任
が優先されます。
しかしインドネシアでは、
人間関係
が最優先される場面が非常に多いです。
例えば、
相手を嫌な気持ちにさせない
場の空気を悪くしない
対立を避ける
これが重視されます。
つまり、「断る」という行為そのものが、
人間関係にダメージを与える可能性があるのです。
そのため、
「一旦YESで受け止める」
という文化が生まれます。
日本人が特に苦労するのがここです。
インドネシアでは、
無理
難しい
できない
を最後まで言わないことがあります。
理由はシンプルです。
相手を失望させたくないから。
例えば、
「明日までにできますか?」
と聞くと、
本当は厳しくても、
「はい」
と言ってしまう。
しかし、実際には間に合わない。
日本人から見ると、
「最初から言ってほしい」
となります。
しかしインドネシア側からすると、
「その場で断る方が悪い」
という感覚があるのです。
インドネシアでは、YESは会話をスムーズにする役割もあります。
例えば、
「この料理おいしい?」
「はい!」
実際には普通でも、まず肯定から入ります。
これは、
場を柔らかくする
会話を止めない
相手を安心させる
という意味があります。
つまり、YESには“空気を良くする機能”があるのです。
日本人はYESを「契約」に近く捉えますが、
インドネシアでは「コミュニケーション」の意味合いが強い。
ここが大きな違いです。
日本人社会では、
「はい、やります」
は、かなり重い言葉です。
そのため、
YES=責任
という感覚があります。
しかしインドネシアでは、
YES=前向きな返事
に近い場合があります。
つまり、日本人はYESを“確定事項”として受け取るため、後でズレが生まれるのです。
これはどちらが正しい、間違いではありません。
価値観そのものが違うのです。
面白いのは、インドネシア人同士でもこの問題が起きることです。
つまり、彼ら自身も、
「本当にやるのか?」
を確認しながら会話しています。
そのため、
何度も確認する
途中経過を聞く
再確認する
という文化があります。
日本人は、
「一度言ったから大丈夫」
と思いますが、
インドネシアでは途中確認が非常に重要なのです。
日本人は、YESなのに進んでいないと、
「なぜやっていないんだ」
となりがちです。
しかしインドネシアでは、
怒るより確認する
方が重要です。
例えば、
「進んでる?」
「困ってることある?」
「いつ頃できそう?」
と細かく確認する。
これだけでかなり変わります。
つまり、
“YESを信じ切らない”
ことが大切なのです。
最初は本当に苦労しました。
「YESと言ったのに違う」
この感覚が、日本人には非常にストレスになります。
しかし、文化を理解すると見え方が変わります。
インドネシア人は、
適当に返事をしているわけではない。
むしろ、
相手との関係を壊さないためにYESを使っている。
そう考えると、かなり納得できます。
インドネシア人が“断らない”理由は、
・NOを避ける文化
・人間関係重視
・空気を壊さない価値観
・YESを柔らかい返事として使う文化
これらが重なっているからです。
日本人は、
YES=確定
と考えます。
しかしインドネシアでは、
YES=前向きな返事
である場合も多い。
この違いを理解するだけで、
インドネシアでの人間関係や仕事はかなり楽になります。
そして気づくのです。
この国は、「正しさ」よりも、
“人との関係”を大切にしている国なのだと。