マカッサルからテルナテへライオンエア直行便で約1時間40分。サンゴ礁の島々や火山島を巡り、ガマラマ山の雄大な姿を望む絶景フライトを搭乗記で紹介します。
インドネシアの東部、モルッカ諸島に浮かぶ火山島テルナテ。かつてスパイス貿易で栄えたこの島は、いまでも豊かな自然と歴史の香りを残しています。今回私は、マカッサルからライオンエアに乗ってテルナテを目指しました。直線距離で約1,100km、飛行時間はおよそ1時間40分。スラウェシ島を横断し、モルッカ海峡を越えて到達する空の旅は、まるでアイランドホッピングをしているかのように数々の島々を眺めながら進んでいきました。青空の下、刻々と変化する景色に胸が高鳴り、到着の瞬間まで飽きることのないフライト体験でした。
朝の陽光が差し込むハサヌディン国際空港。赤い尾翼のライオンエア機は、定刻どおり滑走路を離陸しました。
窓の外に見えるマカッサルの青い海を横目に、機体は南東スラウェシ州に向かって高度を上げていきます。
眼下には住宅地や田園風景が広がり、やがて緑の山々が迫ってくると、スラウェシ島の大地の雄大さを感じます。
ボネ湾上空を抜けると、飛行機は次第に東へと進み、ケンダリの街上空を通過。
広大な海岸線と入り組んだマングローブの姿が窓からはっきりと確認できます。スラウェシ島の山並みを越えると、一気に視界が開け、モルッカ海が広がりました。ここから先はいよいよ、無数の小島を抜けていく空のアイランドホッピングの始まりです。
雲間から現れるのは、ターコイズブルーの海に浮かぶサンゴ礁の島々。まるで絵画のように美しい環礁が点在し、自然が作り出した造形美に思わず息を呑みます。インドネシアは1万7千を超える島々から成る国。そのスケールを、上空から改めて実感できる瞬間でした。
やがて前方に見えてきたのは、海からそびえ立つ円錐形の山。テルナテ島のシンボル、標高1,715メートルのガマラマ山です。その圧倒的な存在感は、遠くからでも一目でわかるランドマーク。さらに目を凝らすと、インドネシア紙幣1,000ルピアにも描かれているティドレ島とマイタラ島が並んで見えました。空から眺めるその景色は、ガイドブックでは味わえない特別な感動を与えてくれます。
降下を開始した飛行機は、青い海と赤茶色の屋根が連なる街並みをかすめ、ゆっくりと滑走路に着陸しました。到着したのは「スルタン・バブラー空港」。モルッカ諸島における玄関口として多くの旅行者を迎え入れるこの空港は、建物のデザインもどこか地方都市らしい素朴さが漂います。
テルナテはマカッサルよりも1時間時差が進んでおり、到着した時刻は日本時間と同じ。インドネシアの東に来たのだと、改めて距離の長さと時差の感覚が実感できました。
今回の座席は5A(前方・窓側)。上昇・降下のシーンがよく見え、主翼の動きや地表のディテールまで楽しめました。スラウェシ横断では山地—湾—都市—島々と見どころが連続するため、窓側は強くおすすめ。天気が安定する朝便は、雲の層が薄く視界がクリアなことが多く、島の外縁にできるリーフの色のグラデーションまでくっきり観察できます。
今回のフライトで強く感じたのは、インドネシアという国のスケールの大きさです。マカッサルからテルナテまでわずか1時間40分の空旅でも、飛び越える海や山の表情は目まぐるしく変わり、まるで数か国を旅したかのような感覚に包まれました。
ライオンエアでのマカッサル発テルナテ行きフライトは、単なる移動手段を超えて、空からインドネシアの多様な自然と地理を体感できる特別な体験でした。サンゴ礁に縁取られた小島、雄大なガマラマ山、そしてティドレ島・マイタラ島の姿、窓越しに広がる景色は一生の思い出になるでしょう。この飛行ルートはぜひ窓側の席を予約することをおすすめします。空から眺める景色が、旅の始まりを何倍にも華やかにしてくれるはずです。
区間:マカッサル(UPG)7時30分発→テルナテ(TTE)10時25分着
航空会社:ライオンエアJT896便(B737-800 PK-LJQ)
所要時間:約1時間40分
距離:約1,100km
時差:マカッサルより+1時間(日本と同じ)