バリ島スミニャックで初めてのドミトリー宿泊に挑戦。バックパッカー御用達の「Stellar Capsules Seminyak」に1泊してみました。料金はわずか120,000ルピア(約1,100円)という激安価格。普段とはまったく違うドミトリー生活を体験できる一方で、エアコン効きすぎの寒さや他人のいびき、夜中のドアの開閉音に悩まされ、まさかの“寝れない夜”に…。安さの裏にあるリアルな過酷体験をお伝えします。
2階にあるドミトリー部屋には、10ベッドほどが並びます。二段ベッドではなくカプセル型に近い個室風ベッドで、コンセントや読書灯、カーテンが付いており、プライバシーはある程度守られていました。ベッド下のロッカーには大きなバックパックも収納でき、鍵付きでセキュリティ面も安心。
1階には共同スペースがあり、長テーブルやソファでパソコン作業をする旅行者の姿も。シャワーとトイレも共同ですが数が多く、順番待ちのストレスはほとんど感じません。
「思ったより快適かもしれない」と感じたのも束の間、夜になると状況は一変。
まず何よりも辛かったのはエアコンの寒さです。設定温度は調整できず、MAXで稼働し続ける冷気が部屋全体を覆います。普段は寝るときにエアコンを切る派の私にとって、この冷気は地獄。布団にくるまっても寒さが和らがず、備え付けの薄い掛け布団は保温効果がほとんどありません。長袖の上下を着込んでも眠りに落ちることは難しく、ただ横になっているだけの時間が続きました。
さらに追い打ちをかけたのが騒音。同室の宿泊者のいびきや寝息、夜中にトイレへ行く人のドアの開閉音が耳に響きます。カーテンで視覚的なプライバシーは守れても、音には無力。耳栓を持参しなかったことを、この夜ほど後悔したことはありません。
結局、深夜までうとうとする程度で、しっかり眠れないまま朝を迎えることに。ドミトリー初体験は、想像以上に過酷な「寝れない夜」となりました。
夜明け前の5時には完全に目が覚め、早く外に出たい気分に。1階のカフェはまだ営業前で真っ暗。そこで近くのコンビニに足を運び、トラジャコーヒーを購入。
熱いお湯を注いでもらい、外のベンチに腰を下ろして飲むと、体がじんわり温まりようやく安堵感が広がりました。
「やっぱり自分には個室ホテルが合っているな」と、この瞬間に心の底から実感しました。
温まった後、ドミトリーに戻ってパソコン作業をしようとしましたが、ここで新たなハプニング。ロッカーの暗証番号を何度入れても開かず、パソコンが取り出せないのです。暗証ロックの不具合らしく、不安が募ります。
結局、7時を過ぎてスタッフが出勤するのを待ち、ようやくロッカーを開けてもらってパソコンを救出。心底ほっとしました。小さなトラブルも「ドミトリーあるある」ですが、旅を楽しむ余裕がなければストレスでしかありません。
落ち着いたところで、カフェのサービスコーヒーをいただき、ようやく作業開始。コンクリート打ちっぱなしの空間にアートな壁画、プール越しの光景はなかなかおしゃれ。短期滞在やワーケーション利用なら悪くないと感じました。
作業を一段落させ、朝食を求めて外へ。徒歩5分ほどの「Corner House Bali」へ向かいます。欧米人観光客に人気のカフェで、朝から店内は賑やか。
黒板メニューやレンガ調の壁が印象的なおしゃれな空間に腰を下ろし、ロングブラックを注文。エスプレッソをベースにした濃いめのコーヒーが、眠気と疲労を吹き飛ばしてくれます。
さらに注文したハンバーガーは、ふわふわのバンズにベーコン、トマト、レタス、スクランブルエッグがたっぷりサンドされ、ボリューム満点。朝から贅沢な気分に浸ることができました。
店内は欧米人でいっぱいで、まるで海外ドラマのワンシーンに迷い込んだかのよう。スミニャックらしい洗練された雰囲気を堪能するひとときでした。
良かった点は、やはり圧倒的なコスパ。1,100円でベッドとシャワー、プールやカフェを利用できるのは破格です。立地もスミニャック中心部に近く便利。短期滞在や「とにかく寝るだけ」で済ませたいバックパッカーには理想的でしょう。
一方で、快適さを求める人には過酷。エアコンの寒さや音のストレスは避けられず、翌日の体力にも影響します。バックパッカーは昼間をアクティブに過ごし、夜は「眠れなくても仕方ない」と割り切るのかもしれません。文化的な背景を理解できたのは収穫でしたが、自分のスタイルには合わないことがはっきり分かりました。
Stellar Capsules Seminyakでの1泊は、まさに「バックパッカーのリアル」を知る時間でした。寒さと騒音で眠れない過酷さを体験しながらも、安さと共同生活の独特の雰囲気を味わえたのは面白い体験でした。「ドミトリーは自分には合わない」と分かったのも収穫のひとつ。次回からは迷わずホテルやヴィラを選ぶでしょう。それでも、一度は経験してみなければ分からなかったことです。欧米人バックパッカーが集まる理由も理解できましたが、快適さを求めるならホテルが無難。結局のところ、宿泊は「価格」だけでなく「自分の体質や旅のスタイル」に合うかどうかが一番大切だと改めて感じました。