今回の一時帰国は、まさに「弾丸」という言葉がぴったりでした。到着日と出発日を除けば、実質たったの2日間。しかもその2日間は、地元でのんびり過ごす暇もなく、福岡への出張がメインという慌ただしいスケジュールです。それでも、いつもどこか懐かしい空気を感じられるのが日本の旅。地元・茨城から全国へつながる玄関口「茨城空港」から、空と陸の移動をお伝えします。
朝の水戸駅。久しぶりに乗る通勤時間帯の常磐線には、学生や会社員がずらりと並んでいました。
改札を抜けると、ホームには制服姿の高校生の列。日本の駅特有の整然とした並び方に、少し懐かしさを覚えます。インドネシアで暮らしていると、こうした「静かな秩序」の風景にどこか安心感を覚えるものです。
混み合う電車の中、リュックを抱えながら立ったまま石岡駅まで移動します。わずか30分ほどの区間ですが、窓から見える田園風景がどんどん広がっていくのを見ていると、いつの間にか旅のスイッチが入っていきました。
石岡駅で電車を降り、次の移動手段は茨城空港行きのバス。
「BRT」と呼ばれるこのバスは、もともと鉄道の線路があった場所をそのまま活用し、バス専用道路として整備された路線です。信号も交差点もなく、一定速度でスムーズに走り続けるので、まるで電車のような乗り心地です。
乗車した当初は、地元の高校生でいっぱいでしたが、小川駅跡を過ぎたあたりからは乗客がどんどん減り、最終的には4人ほどに。車窓からはのどかな田園風景が続き、遠くに牛舎や畑が見える風景が「帰ってきた」という実感を深めてくれます。
茨城空港に到着すると、いつもの落ち着いた雰囲気。広すぎず、迷うこともなく、地方空港ならではの「ちょうどいい距離感」が心地よい場所です。チェックインまで少し時間があったので、2階の「スカイライトカフェ」でアイスコーヒーを注文。出発便を待ちながら、到着した飛行機が滑走路をゆっくり進む姿を眺めていました。
旅の始まりにこうして一息つける時間があるのは、茨城空港の魅力のひとつです。
混雑した成田や羽田とは違い、出発直前までゆったりと過ごせるのがいいところ。
搭乗時間が近づくと、手荷物検査を済ませ、いよいよ制限エリア内へ。
茨城空港ではボーディングブリッジではなく、滑走路を歩いて搭乗するスタイル。
目の前に大きく見える機体の存在感が、飛行機旅の高揚感をぐっと高めてくれます。
今回搭乗したのはスカイマーク便。チェックイン直前に、隣が空いている座席へ変更たので、隣席に気を遣わず、ゆったりとした空の旅ができました。
離陸直後の茨城上空はどんよりした曇り空。しかし、西へ進むにつれて雲が切れ、太陽の光が機体を包み始めました。
眼下には、青く広がる太平洋と、岬のように突き出た海岸線。飛行機から眺める日本列島は、何度見ても飽きません。
山の稜線や小さな町並み、河川の流れがひとつの地図のように広がり、あらためて日本の自然の豊かさを感じさせてくれます。
天候の移り変わりとともに、気分もどんどん晴れていくのが不思議です。
フライト後半、機体は福岡へとアプローチ。
窓の外には、青く透き通る海と白い砂浜が一直線に続く美しい海岸線が見えてきました。まるでリゾート地のような光景に、思わず息をのみます。
この光景を見ると、九州に来た実感が一気に湧いてきます。都市としての便利さと、自然の豊かさが共存しているのが福岡の魅力。今回の出張では、短い滞在ながらもその雰囲気を存分に味わうつもりです。
定刻通りに福岡空港へ到着。
滑走路の向こうにはピーチやスカイマークの機体が並び、空港全体が活気に満ちています。
地方空港同士を結ぶ便とはいえ、その利便性は抜群。わずか2時間足らずで関東から九州まで移動できるのは、やはり日本の交通インフラの強みを感じます。
今回の弾丸帰国&出張では、茨城空港という地元の小さな空港が、どれほど便利で頼もしい存在かをあらためて実感しました。水戸からのアクセスもBRTバスでスムーズ。混雑の少ない空港で快適に搭乗し、西日本までわずか数時間で到達できる。地方在住者にとって、これは本当にありがたいルートです。短い滞在ではありましたが、移動そのものが「旅」として楽しめた今回の帰国。空港、バス、そして飛行機――それぞれの風景の中に、日本らしさが詰まっていました。