海風が心地よいマカッサルの夕刻。オレンジ色に染まった空が、群青へとゆっくり移り変わるほんのひとときの“魔法の時間”は、港町で暮らす人々にだけ許された贅沢な体験です。
5月に入り乾季が本格化し、雨の心配はぐっと減少。空気もさらりと軽く、湿度が下がったことで、日没後の散歩がぐんと快適になりました。
この季節、夕方から夜にかけてふらりと街を歩くだけで、昼間とはまったく違う“涼やかなマカッサル”の姿に出会えます。ロサリビーチで夕陽を見届け、CPIの水辺を散策し、最後はビール片手に夜景を眺める──。そんな贅沢な時間を、今日はご紹介します。
ロサリビーチで“今日の終わり”を味わう
時間帯は17:30〜18:30ごろ。
この時間のロサリビーチでは、沈みゆく太陽と港に浮かぶピニシ船のシルエットが、まるで絵画のような景色を演出してくれます。
乾季の5〜9月は雨に悩まされることもほとんどなく、夕陽が水平線に沈むその瞬間まで、しっかりと目に焼き付けることができます。
さらに湿度が下がっているため、歩いていても汗ばむことはなく、海風が肌をやさしく撫でてくれる心地よさ。まさに散歩にぴったりの気候です。
そんな夕暮れのひとときを楽しむなら、ローカル屋台で売られているピサン・エペ(焼きバナナ)がおすすめ。炭火で軽くプレスされたバナナに、濃厚なパームシュガーソースをたっぷりとかけた甘く香ばしい一品。潮風に吹かれながら手に取れば、夕景の中で味わう特別なスイーツになります。
「日が沈む瞬間」を最も美しく楽しみたいなら、少し薄雲が出ている日を狙うのがコツ。太陽の光が雲に反射し、空全体がピンクから紫へと染まっていくグラデーションは、思わず息をのむほど幻想的です。
ロサリビーチから徒歩約15分。海を埋め立てて造られた新しい開発エリア、CPI(センター・ポイント・オブ・インドネシア)へ足を延ばします。
夕闇が落ち始めるころ、海沿いの遊歩道には灯りがともり、穏やかな海面に光が反射してきらめきます。
タイミングが合えば海沿いのカフェでアイスコーヒーを片手に、空の色が刻々と変わるグラデーションをゆったりと眺めるのもおすすめです。
乾季の夜は気温も27℃前後まで下がり、日中の熱気が和らいだ空気の中で、心も体もほっと緩むようなひとときを過ごせます。
キヨス・スマランの屋上ビアガーデンで乾杯!
CPIから再びロサリの中心部に戻ってきたら、夜の締めくくりはやっぱり“あの場所”へ。
人気スポット「キヨス・スマラン(Kios Semarang)」の3階にある屋上ビアガーデンへ向かいます。
ここは、海を望む開放感とローカルな空気感が絶妙にミックスされた、マカッサルならではの隠れた名所。吹き抜けの屋上からは、ライトアップされたロサリの街並みや、沖に停泊するピニシ船の光がちらちらと瞬き、夜景をゆったりと楽しむことができます。
何よりの魅力は、驚くほどよく冷えたローカルビール。
「ビンタン(Bintang)」や「プロスト(Prost)」などおなじみの銘柄がいつもキンキンに冷えています。
ビールの相棒には、名物のアヤム・ゴレン(インドネシア風フライドチキン)が相性抜群。香ばしく揚がった鶏肉にスパイシーなサンバルをつけて頬張れば、ビールがどんどん進みます。
在住者の間でも「ここがマカッサルで一番好きな夜の場所」と語られるほど、開放的で心地よい空間。夕暮れから夜への流れを自然に楽しめる、まさに“港町のビール時間”です。
乾季に入った5月のマカッサルは、夕方から夜にかけての時間帯が本当に快適。強い日差しが和らぐとともに気温も落ち着き、湿度も日中より10〜15%ほど下がるため、驚くほど心地よく街を歩けます。
“雨が降らない安心感”と“さらりとした夜風”という、二つのご褒美を同時に味わえるこの時期は、シーサイド散歩にぴったりの季節。
観光客にとってはローカルな風景との出会いがあり、在住者にとっては日常の中のちょっとした非日常として、あえて「歩く」ことが新しい発見につながります。
明日への活力をチャージできる、心も身体も癒されるようなリラックス散歩。マカッサルの夜を、ぜひ歩いて楽しんでみてください。