ジャカルタ出張の日。
マカッサルの街はまだ眠ったまま、道にも人影はほとんどありません。
夜明け前の空気はひんやりとしていて、
街灯のオレンジ色が静かな道を照らしていました。
この「誰もいない時間帯に空港へ向かう感じ」が、
昔からどこか好きです。
出張なのに、旅人になったような気持ちになるからです。
車が空港へと近づくにつれ、空はうっすらと青くなり始めました。
赤道に近いマカッサルでは、日の出はほぼ毎日6時前後。
今日も変わらず、美しい朝がやってきそうです。
空港に到着すると、
まず迎えてくれたのは大きなハサヌディン像と、
その背後でオレンジ色に染まりゆく空。
ターミナルビルのガラスが朝日を受けて光り、
建物の曲線が柔らかく浮かび上がる瞬間は、
思わず写真を撮りたくなる美しさです。
マカッサルの空港では、
「自然の風景 × 近代的なターミナル」が同時に味わえるところが好きです。
都会的でありながら、南スラウェシの自然が常に背景にある。
これが、ほかの地域にはない魅力だと思います。
静かに動き始めるターミナル
早朝の空港は、独特の空気があります。
店はまだ開いておらず、
ただ照明だけが明るく点灯している。
人が少ないコンコースに、アナウンスの音がやわらかく響く。
まだ完全には動き出していない“空港の素顔”が見える時間帯です。
磨き上げられた床に光が反射し、
カートは整然と並んでいます。
この静けさの中に、
これから始まる一日の活気を予感させるものがありました。
チェックインと保安検査を済ませ、
少し歩くと Blue Sky Premier Lounge の看板が見えてきます。
入口には小さなクリスマスツリー。
まだ薄暗いターミナルに鮮やかな赤と緑が映えて、
「もう年末か」と季節を感じさせました。
ラウンジ内は、木目調の壁と柔らかな照明で統一されています。
外の無機質な空港の雰囲気とは対照的で、
まるで小さなホテルラウンジに迷い込んだような落ち着きがあります。
朝の体を目覚めさせる、淹れたてのコーヒー
席に座ると、
まずはいつものブラックコーヒーを一杯。
淡いブルーグレーの陶器カップに注がれたコーヒーは、
表面に薄く油膜が浮かび、
立ち上る香りだけで眠気が和らいでいくようです。
一口飲むと、
スラウェシ島の名産・トラジャコーヒーらしい深いコクと、
ほんのりとした酸味が口の中に広がります。
空調で少し冷えた体の内側から温まっていくのが分かり、
「今日も頑張ろう」と思わせてくれるような味。
出張の朝に、こうして“コーヒーで気持ちを整える時間”を持つことは
本当に大切だと思います。
短い時間でも、それがあるかないかで、
その日の集中力や気分が大きく変わるからです。
Blue Sky ラウンジの魅力のひとつが、
搭乗ゲートまでの電動カート送迎サービス。
私が利用した時も、スタッフが
「Gate 1 までお送りしますね」と笑顔で案内してくれました。
乗り込むと、スーッと静かに動き出すカート。
歩いて移動すると10分以上かかる距離でも、
カートだと数分で到着します。
走るスピードは速すぎず、遅すぎず、
ターミナル全体を眺めるにはちょうどいい。
人の流れ、開店準備中のショップ、朝の光に照らされたフロア。
“空港をゆっくり見物する特別席”のような気分になります。
この「VIP感」は、乗ってみないと分からない心地よさです。
ゲートに到着すると、
大きな窓の向こうに、完全に昇った太陽が広がっていました。
照明よりも明るい自然光が差し込み、
ゲートエリア全体が白く輝いているように見えます。
遠くには山の稜線がくっきりと浮かび、
朝の透明な空気の中に機体が並んでいます。
南スラウェシの朝は、いつ見ても清々しい。
定刻で搭乗開始のガルーダインドネシアに乗り込んでいきます。
マカッサル空港を利用するたびに思うのは、
「この空港は本当に過ごしやすい」ということ。
広々とした動線
清潔な床とトイレ
使いやすい案内表示
Wi-Fi や充電設備が整っている
スタッフの対応が穏やか
観光客やビジネス利用者だけでなく、
地方都市としての機能を担いながら、
国際空港としての設備も備えています。
そして、朝の時間帯に来るとその良さが一段と際立ちます。
人が少なく、静かで、光がきれいで、空気が澄んでいる。
まるで「今日の旅はきっと良いものになる」と
空港自体が背中を押してくれているかのようです。
まとめ:早朝の空港には、旅を豊かにする力がある
今回の早朝フライトでは、
ただ移動するだけの時間が、
“特別な体験”に変わる瞬間がたくさんありました。
出張の始まりをとても心地よいものにしてくれました。
マカッサルのハサヌディン空港は、
機能的で、清潔で、自然の美しさが感じられる空港です。
そして何より、
“朝が美しい空港” だと思います。
「空港で過ごす時間って、こんなに豊かだったのか」と感じながら、1日がスタートします。