乾季の澄んだ空気に包まれたマカッサルの早朝。スルタン・ハサヌディン国際空港からガルーダ・インドネシアでジャカルタへ向かう出発体験を、朝焼けの景色と共に紹介します。
まだ薄暗い早朝5時台。空港へ向かう高速道路を走る車のフロントガラス越しには、徐々に明るさを増す空が広がっていました。
あたり一帯は静けさに包まれ、早朝ならではの澄んだ空気と穏やかな雰囲気が漂っています。
この時間帯の高速道路にはどこか旅情があり、非日常への入り口のように感じられます。
空は少しずつ、オレンジから青へと移ろい、グラデーションが広がっていく様子は、早起きした人だけが味わえる贅沢な景色。自然がつくり出す、ほんの一瞬の美しいショータイムでした。
空港に着いたのは午前6時。
マカッサルの空の玄関口であるスルタン・ハサヌディン国際空港は、国内線と国際線が一体となった大規模な施設です。近年の拡張により、より快適で洗練された空港へと生まれ変わっています。
出発ターミナルのエントランスは、白を基調としたモダンなデザイン。大きく張り出した屋根が強い日差しやスコールをしっかり遮り、広々としたロータリーにはタクシーや送迎車が列をなしています。
この日は搭乗まで少し時間があったため、空港の外に出てロータリーからの景色を楽しむことに。
目の前には、曲線を描いた新ターミナルの屋根と、その奥に連なる山々。朝日が山肌をほんのりとオレンジ色に染め、澄んだ空気と重なり合って、まるで空港とは思えないほどの自然美が広がっていました。
自然の中に溶け込むような空港の風景に、心が静かにほどけていきます。
いつもは慌ただしく中へ入ってしまうところですが、この日はじっくりと朝焼けの時間を味わうことができ、心まで晴れやかに。旅の始まりにぴったりの、穏やかなひとときでした。
搭乗までの待ち時間は、空港内の「Concordia Lounge(コンコルディアラウンジ)」で過ごすことにしました。
現在ラウンジは改装工事中のためスペースはやや限られていますが、朝早い時間だったため利用者も少なく、快適な空間でした。
この日いただいたのは、マカッサル名物の「赤いナシゴレン(ナシゴレン・メラ)」。
トマト、パームシュガー、バワン・メラ(赤タマネギ)などを使って炒められたご飯は、ほんのり甘くてやさしい酸味があり、地元らしさを感じる素朴な味わいです。
あわせて出されたインドネシアの濃いコーヒーとともに、落ち着いた空間でゆっくりと朝食をいただきながら、心の準備も整っていきます。
ラウンジでのひとときは、旅のスイッチを静かにオンにしてくれる大切な時間でした。
今回の搭乗ゲートは「GATE 9」。
黄色い大きな文字で表示されたゲート番号が印象的で、明るい色使いが朝の空気とよく合っていました。
搭乗通路を抜けて、ガラス張りのエリアへと進むと、目の前には朝日を浴びる滑走路と、出発を待つガルーダ・インドネシアの機体。
朝焼けに照らされた機体の白と青が、まだ低い太陽の光に包まれて、まるで静かな祝福を受けているかのように見えました。
オレンジ色に染まった地平線。静かに整列する搭乗ブリッジと作業車。
目に映るすべてが「新しい一日が始まる」ことを告げているようで、自然と気持ちが前向きになります。
早朝のフライトには、日中にはない特別な魅力があります。
人の動きが少なく、空港全体に静けさがあり、空気が澄んでいて、時間の流れがゆっくり感じられる。
そんな朝の旅立ちは、心にも余白をくれるような、穏やかで贅沢な時間です。
マカッサルの乾季の晴れやかな空の下、自然に囲まれた空港で、静かに始まる一日。
ガルーダ機の機体に乗り込み、心地よい風とともに、ジャカルタへと旅立ちました。