インドネシア国内を移動する際、多くの旅行者が利用するのがライオンエア。今回は、マカッサルからバリ・デンパサールへ向かう朝のフライト、ライオンエアJT741便に搭乗しました。乾季まっただなかの快晴に恵まれ、窓側席4Aから眺める海と島々、そしてバリ島のアグン山の絶景は、まさに「移動そのものが旅のハイライト」と感じさせてくれるものでした。
マカッサル市街から車で約30分。到着したのは**スルタン・ハサヌディン国際空港(Bandara Internasional Sultan Hasanuddin)**です。空港の正面で迎えてくれるのは、独立の英雄・スルタン・ハサヌディンの巨大な像。凛とした立ち姿は南スラウェシの誇りを象徴する存在で、朝日を浴びて輝くその姿を前にすると、これからの空の旅への期待が一層高まります。
国内線ターミナルは近年改装され、ガラス張りの明るい空間が広がっています。館内にはカフェや売店も多く、朝早い時間にも関わらず多くの乗客で賑わっていました。
チェックインを済ませ、保安検査を抜けて出発ロビーへ。搭乗口は2番ゲートで、出発予定時刻は定刻通り。
ライオンエアといえば沖止めからバスで移動するケースが多いですが、今回はマナドからの経由便ということもあり、珍しくボーディングブリッジを使用。ライオンエア利用者にとって、ちょっとした特別感を味わえる瞬間でした。
この日の機材はボーイング737-800型機(機体番号PK-LKV)。真っ白な機体に大きな赤いライオンマークが映えています。
定刻通りに搭乗が始まり、乗客たちは次々とブリッジを進んでいきます。私は前方の窓側4Aを指定していたので、搭乗後すぐに着席し、窓の外の景色を楽しむ準備を整えました。しかし、搭乗は順調だったものの、なかなかドアが閉まりません。客室乗務員が行き来し、乗客の人数を何度も確認。どうやら搭乗人数の確認に時間がかかっていたようです。
最終的にドアが閉まり、タキシング開始となりましたが、ここで再び足止め。軍用機の離発着が続き、私たちの便は6番目の出発待ちとなりました。
タキシング中、目に飛び込んできたのはガルーダ・インドネシア航空のレトロ塗装機。赤と白のクラシックなデザインは航空ファンにとって特別な存在感を放っています。
さらに滑走路には軍用機や他社便が整列。そんな光景を眺めているうちに、ようやく離陸の順番が回ってきました。
エンジンが唸りを上げ、機体は滑走路を駆け抜けます。やがて地面を離れ、一気に上昇。
窓側4Aから見下ろすと、広大な滑走路と緑豊かな大地があっという間に小さくなっていきました。
乾季らしい快晴の空が広がり、窓外の青さは言葉にできないほど澄み渡っています。まさに、空の旅の醍醐味を感じられる瞬間です。
眼下には南スラウェシの大地と海岸線が広がります。街並みや緑の田園風景がくっきりと見え、乾季の空気の透明感を実感。
さらに飛行が進むと、大小の島々が点在する光景が広がり、遠くにはロンボク島のリンジャニ山も姿を現しました。
濃紺の海とエメラルドグリーンのグラデーション、その向こうにそびえる山々。まるで一枚の絵画のようで、飛行機に乗っているだけで島巡りをしているような感覚を味わえました。
やがて雲の切れ間からバリ島の大地が見えてきます。海岸線や街並みの広がりが鮮明に見え、「観光地に来た」という実感が高まっていきました。
そして、窓の正面に現れたのがアグン山。標高3,000メートルを超える火山であり、バリ島の象徴です。その雄大な姿に思わず息を呑みました。雲を従え堂々とそびえる姿は圧巻でした。
やがて機体は高度を下げ、滑らかな着陸でングラライ国際空港に到着。
ターミナルに降り立った瞬間、マカッサルの乾いた空気とは対照的に、バリ島特有の湿った熱気が肌を包み込みます。「リゾート地に来た」という実感が一気に高まりました。
今回のライオンエアJT741便は、出発前に少し慌ただしい場面があったものの、全体としては快適でスムーズなフライト。乾季の快晴に広がる南国の空と海、そしてアグン山の雄大な姿を、窓側席4Aから余すところなく堪能できました。飛行機は単なる移動手段ではなく、空から眺める景色そのものが旅の一部。今回のフライトは、そのことを改めて実感させてくれる貴重な体験となりました。