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【マカッサル生活】豚カツ不在の街で“チキンカツ丼”が救世主になった理由

イスラム圏マカッサルでは豚肉文化が存在せず、日本のとんかつやカツ丼は基本的に見つかりません。そんな環境で日本人が恋しくなる「カツ丼」の代替として辿り着くのがチキンカツ丼です。ローカル和食店で食べ歩いた実体験をもとに、マカッサルで楽しむ“鶏のカツ丼”の魅力と生活者のリアルをお伝えします。

カツ丼は豚じゃない!?イスラム圏の街で“チキンカツ丼”に行き着くまでの物語

「カツ丼が食べたい」――豚がない街で、日本の“あの味”を求めて

唐揚げや牛丼ならまだしも、なぜかふと頭に浮かぶのが“あの味”です。

卵でとじた甘辛いタレ、サクッとした衣の豚カツ、たっぷりの玉ねぎの旨味、そして白米との相性。食べ終わったあとの満足感まで、日本人なら誰もが知る王道メニュー、それがカツ丼です。

しかし、ここはインドネシア・マカッサル。

イスラム教徒が大多数を占めるこの街では、豚肉そのものがほとんど流通していません。したがって、“豚カツ”に出会うことはほぼ奇跡に近いのです。

そんな環境で生活していると、自然とこう思うようになります。

「豚のカツ丼は無理でも、せめて“カツ丼の雰囲気”だけでも味わいたい!」

その思いが高まった結果、頼るのは チキンカツ丼。

最初は代用品のつもりでしたが、マカッサル生活が長くなるにつれ、「意外と悪くない」「むしろこれで十分では?」という境地にまで達しました。

今日は、そんな “豚がない街のチキンカツ丼探し”という、マカッサル生活ならではの物語をご紹介します。

マカッサルでは「とんかつ」は存在しない現実

日本ではどこへ行ってもカツ丼に困ることはありません。

街の食堂でも、大手チェーンでも、定食屋でも「カツ丼」は定番です。しかし、マカッサルでは話がまったく異なります。

豚文化が根付かない街

マカッサルはイスラム圏の都市です。そのため、

スーパーマーケットに豚肉のコーナーがない

一般飲食店のメニューに豚肉が存在しない

居酒屋風の店でさえ豚料理はほぼ出てこない

という環境が当たり前です。

この文化背景を理解して初めて、「なぜマカッサルにはカツ丼がないのか」という答えが見えてきます。

そう、カツ丼=豚カツだからです。

日本食レストランにも存在しない“豚カツ”

マカッサル生活も約10年。これまで多くの店を渡り歩いてきましたが、現実はシビアで、とんかつメニューには一度も出会ったことがありません。

マカッサルでは諦めて、ジャカルタ出張の際に、とんかつやカツ丼を楽しむほどでした。

その理由はシンプルで、

豚肉の仕入れが不安定

価格が高く、提供が安定しない

ハラル的な宗教配慮で扱いが難しい

そもそも需要がない(日本人が少ない)

といった事情が重なるためです。

つまり、正統派の「カツ丼」はマカッサル生活では諦めるしかないのです。

そこで登場するのが「チキンカツ丼」という新たなソリューション

豚カツが無理なら、どうすればいいのか。

その答えは意外にもシンプルでした。

チキンカツで代用する。

最初は「豚じゃないカツ丼なんて…」と思っていましたが、食べてみると、これが意外と悪くありません。むしろ、今ではマカッサル生活の“定番の味”にすらなっています。

チキンカツはマカッサルで最も安定した肉

インドネシアは鶏肉文化が非常に強く、流通量も鮮度も安定しています。

  • 価格が安い
  • 入手しやすい
  • 鮮度が良い
  • どのお店でも調理できる

という状況が整っており、和食にもローカル料理にも鶏肉メニューが非常に多いのはそのためです。

結果として、チキンカツ丼の完成度が自然と高くなるのは納得です。

実際に食べ歩いた“マカッサルのチキンカツ丼”レビュー

ここからは、私が実際にマカッサルで食べたチキンカツ丼を2つ紹介します。

写真に写っているのがその実物で、どちらも性格が違い、食べ歩きの楽しさがありました。

とろとろ卵&甘めのタレが日本の味に近い一杯

この店のチキンカツ丼の特徴は、

卵の火入れが柔らかい

玉ねぎがしっかり入っている

甘めのタレで日本の味付けに比較的近い

という点です。

鶏肉は薄めですが、衣がサクッとしていて全体のまとまりが良い。

白米との相性も抜群で、「あ、これは日本のカツ丼っぽい」と素直に感じられる一杯でした。

日本で同じクオリティを食べるより安く、コスパも満足度も高いのが魅力です。

鶏肉が厚めでジューシー。卵は少し固めの別路線

一方、こちらの店は

しっかりと厚みのあるチキン

卵はやや固めで、親子丼寄りの仕上がり

タレは塩味と甘みのバランスが良い

という“別タイプ”のチキンカツ丼。

鶏肉の存在感が強く、ボリュームも十分。

日本で馴染んだカツ丼とは少し違う見た目ですが、「これはこれで旨い」としっかり満足できる味でした。

チキンカツ丼は“妥協”ではなく、現地生活の最適解だと気づいた理由

マカッサル生活が長くなるにつれ、私はあることを悟りました。

豚肉がない街で「豚のカツ丼」を追い求めるのは、幸福度を下げるだけだ。

むしろ環境に合わせて“楽しめる選択”を取ったほうが、生活満足度は上がります。

チキンカツ丼は軽く、暑い気候でも食べやすい

豚カツより脂が少なく、食後の重さがないのも大きな魅力です。

マカッサルは常に30度前後の気候なので、重い食事は意外と負担になります。

その点、チキンカツ丼は胃に優しく、暑い日でもスッと食べられます。

「これはこれでおいしい」という気持ちが生活をラクにする

期待値を変えると、見える景色も変わります。

豚カツではない

でも日本の“あの味”にかなり近い

値段も手頃

いつでも食べられる

と考えると、チキンカツ丼は“代用品”ではなく、マカッサル生活に最適化されたローカルフードとして楽しめるようになりました。

まとめ:豚がなくても“カツ丼欲”は満たせる

マカッサルで生活する限り、本物の豚カツ丼に出会うのは難しいでしょう。

しかし、視点を変えれば、チキンカツ丼は十分に“カツ丼欲”を満たしてくれる存在です。

  • イスラム圏のため豚文化がない
  • しかし鶏肉が安定しており料理の完成度が高い
  • ローカル和食店でも“日本風の味”を楽しめる

つまり、マカッサル生活ではチキンカツ丼こそが“最適解のカツ丼”なのです。

不便を嘆くよりも、いまある環境で最大限楽しむ。

その心持ちこそが、海外生活を豊かにしてくれるのだと、私は実感しています。

kenji kuzunuki

葛貫ケンジ@インドネシアの海で闘う社長🇮🇩 Kenndo Fisheries 代表🏢 インドネシア全国の魅力を発信🎥 タコなどの水産会社を経営中25年間サラリーマン人生から、インドネシアで起業してインドネシアライフを満喫しています。 インドネシア情報だけでなく、営業部門に長年いましたので、営業についてや、今プログラミングを勉強中ですので、皆さんのお役にたつ情報をお伝えします。