フライトの定時到着、スムーズな市内移動、静かなカフェでの準備時間。ジャカルタ出張の一日は、すべてが噛み合うことで完成する。メガクニンガンからスナヤンへ移動しながら、仕事の合間に取った「整える時間」が、結果を左右します。忙しい出張の中で見落とされがちな、“移動と打ち合わせの間”にこそ価値があることをお伝えします。
順調なフライトが生んだ、完璧なスケジュール
GA617便は予定通り、スカルノハッタ国際空港に着陸しました。マカッサルを出発してから約2時間。機内で頭の中を整理し、コーヒーを飲みながら過ごした移動時間は、これから始まる忙しい一日への準備期間でもありました。
スカルノハッタ空港のターミナル3は、いつ来ても効率的です。動線がよく考えられていて、大きな空港にもかかわらずスムーズに外に出られる。こうした細かな部分が、出張の成否を左右することもあるのです。
空港を出ると、ジャカルタの独特の空気が肌に触れました。湿気を含んだ熱気。そして、車の排気ガスと人々の活気が混ざり合った、大都市特有の匂い。「ああ、ジャカルタに来たんだな」と、改めて実感する瞬間です。
時計を見ると、予定より少し早い。フライトが定刻通りだったおかげで、午前中の打ち合わせにも余裕を持って間に合いそうです。これは幸先がいい。出張において、時間通りに物事が進むというのは、何よりも重要なことです。
空港から市内への移動は、ブルーバードタクシーで向かいます。ドライバーに「メガクニンガンまで」と告げると、慣れた様子で車を走らせ始めました。スカルノハッタ空港からメガクニンガンまでは、交通状況にもよりますが、通常1時間から1時間半ほど。この日は朝の時間帯で、比較的スムーズに進みます。
高速道路を走りながら、窓の外を眺めます。ジャカルタの郊外から徐々に中心部へと近づいていく景色の変化は、いつ見ても興味深い。低層の住宅地から高層ビルへと移り変わる風景は、この都市の経済的なグラデーションを表しているようです。
やがて、メガクニンガンのビル群が見えてきました。国内外の企業オフィス、高級ホテル、大使館が集まるこのエリアは、インドネシアの経済成長を象徴する場所の一つです。
打ち合わせの時間まで、まだ少し余裕があります。直接オフィスに向かうこともできますが、ここで焦っても仕方ない。むしろ、少し早めに着いて頭を整理する時間を持つ方が賢明です。
ビルの近くにある Caffè bene(カフェベネ)に立ち寄ることにしました。韓国発のカフェチェーンですが、インドネシアでも人気が高く、ジャカルタの主要エリアには必ずと言っていいほど店舗があります。
店内はモダンで落ち着いた雰囲気。コンクリートの壁に植物が配され、インダストリアルでありながら温かみも感じられます。この日は涼しい店内席を選びました。
アイスアメリカーノを注文し、窓際の席へ。外には、メガクニンガンの街並みが広がっています。行き交うビジネスパーソン、整備された歩道、高層ビル群。ここが、インドネシアの経済を動かしている場所の一つなのだと実感します。
カフェで過ごす30分ほどの時間は貴重です。マカッサルからの移動、そしてこれから始まる打ち合わせ。その間に挟まれた、束の間の「自分だけの時間」。スマートフォンを取り出し、今日の打ち合わせ資料を最終確認します。話すべきポイント、相手が気にする点、自分が確認したいこと。頭の中で、もう一度整理していきます。
この静かな時間が、これから始まる緊張感のある打ち合わせへの、最高の準備になるのです。
時間になり、オフィスビルへ向かいます。エントランスでセキュリティチェックを受け、エレベーターで37階へ。上昇するにつれて、耳が少し詰まるような感覚があり、高度を実感します。
会議室はガラス張りで、窓からはジャカルタの街並みが一望できました。高層ビル群、その先に広がる住宅地、そして遠くに霞む地平線。37階からの景色は、この都市の広大さを改めて感じさせます。
打ち合わせは、今後のビジネス展開について。資料をもとに説明を進め、相手の反応を見ながらペースを調整します。カフェで整理した内容が、驚くほど自然に言葉として出てきます。
37階という高さは、地上の喧騒から少し距離を置き、冷静に物事を考えるのにちょうどいい。打ち合わせは順調に進み、予定していた内容をすべてカバーすることができました。
ビルを出ると、すでに正午を過ぎていました。次の打ち合わせはスナヤン。メガクニンガンからは比較的近く、交通状況が良ければ15分ほどの距離です。
昼間の時間帯は渋滞も比較的穏やかで、移動はスムーズ。高層ビルが立ち並ぶ景色を眺めているうちに、あっという間にスナヤンに到着しました。
次の打ち合わせまで、まだ1時間ほど時間があります。昼食を取りながら、少し気持ちを切り替えるにはちょうどいいタイミングです。向かったのは、Plaza Senayan(プラザ・スナヤン)。
Plaza Senayanの中にある「寿司清(Sushi Sei)」へ。以前にも訪れたことのある、日本食レストランです。木の温もりを感じる落ち着いた外観を見て、「ここだ」と直感しました。
店内は天井が高く、和紙を使った照明が柔らかな光を放っています。二層構造の空間は開放感がありながら、各テーブルは程よく区切られていて、落ち着いて食事ができる雰囲気です。
ランチメニューから、にぎりセットを注文。数分後、美しく盛り付けられた寿司が運ばれてきました。マグロ、タイ、サーモン、エビ。色彩のバランスが美しく、見ているだけで気分が上がります。
一貫ずつ味わうと、シャリの温度、ネタの鮮度、醤油との相性が心地よい。ジャカルタで、これだけのクオリティの寿司が食べられることに、改めて感心します。茶碗蒸しも付き、優しい出汁の味が体に染み渡りました。
高級モール内のレストランとしては価格も手頃で、この内容なら十分に満足です。
午後の打ち合わせも無事に終了しました。今回予定していた二つのミーティングは、どちらも順調。良い手応えを得ることができました。
スナヤンのオフィスビルを出ると、午後の日差しが眩しい。一日の仕事を終えた充実感と、すべてが予定通りに進んだという安堵感が同時に押し寄せます。
今日一日を振り返ると、成功の要因はいくつもあります。定刻通りのフライト、移動のスムーズさ、そして事前の準備。しかし何より大きかったのは、適切なタイミングで「間」の時間を取れたことでした。
Caffè beneでの朝のコーヒー、寿司清での落ち着いたランチ。これらの時間が、打ち合わせの質を確実に高めてくれたのです。
出張の成功は、移動と会議の間にある時間の使い方で決まる。
そんなことを改めて実感した、ジャカルタでの一日でした。