2026年9月6日未明から、ジャカルタの玄関口であるスカルノ・ハッタ国際空港の運航停止が続いています。
原因は、ジャワ島とスマトラ島の間にあるアナック・クラカタウ山の噴火です。
噴火によって発生した火山灰がジャカルタ周辺まで広がり、スカルノ・ハッタ国際空港だけでなく、ハリム・ペルダナクスマ空港、バンドンやランプンなどの空港にも影響が出ています。
私はマカッサルに住んでいます。
マカッサルでは火山灰は確認されておらず、街の様子も普段と変わりません。スルタン・ハサヌディン国際空港も、火山灰による閉鎖は行われていません。
それでも、仕事にはすでに影響が出ています。
ジャカルタからマカッサルへ来る予定だった出張者の飛行機が欠航となり、予定していた訪問やミーティングをリスケジュールすることになりました。
火山から遠く離れたマカッサルでも、ジャカルタの空港が止まると、人の移動が止まります。
スカルノ・ハッタ国際空港では、9月6日午前0時35分から1時5分にかけて実施された検査で、火山灰が確認されました。
これを受けて、当初は午前1時30分から5時30分まで空港を閉鎖する予定でした。
ところが、その後の検査でも火山灰が確認され、閉鎖時間は午前9時30分、午後1時30分、午後5時30分と次々に延長されました。
一度は6日中の再開が期待されましたが、空港閉鎖は深夜まで続き、翌7日になっても再開できない状態となりました。
7日朝には、一部で火山灰検査が陰性となり、チェックインカウンターが再び動き出す場面もあったといいます。一時は運航再開への期待も高まりましたが、その後も火山灰が検出され、空港閉鎖は午前9時、午後6時、午後9時30分と繰り返し延長されました。
さらに、9月7日午後5時30分時点の在インドネシア日本国大使館からの情報では、スカルノ・ハッタ国際空港の運航停止は、同日午後11時59分まで延長されています。6日に続き、7日も事実上、終日運航できない状況となりました。
ただし、これは8日午前0時から必ず運航を再開するという意味ではありません。これまでにも閉鎖時間は繰り返し延長されており、火山灰の検査結果によっては、8日まで閉鎖が続く可能性があります。
9月7日に発表された最新情報によると、欠航、遅延、目的地変更などの影響を受けた便は2,961便に上り、影響を受けた利用者は約34万1,000人となっています。
この数字には、欠航だけでなく、長時間の遅延や目的地変更も含まれています。
空港では、運航案内を確認する乗客が集まり、ベンチなどで長時間待機する人も出ています。
航空会社も対応に追われています。
ガルーダ・インドネシア航空は、ジャカルタ、バンドン、ランプンを発着する便を相次いで欠航しました。ライオン・エア、バティック・エア、シティリンク、エアアジアなどの便にも、欠航や大幅な遅延が出ています。
国際線でも、シンガポール、クアラルンプール、ドーハ、シドニーなどを結ぶ便に影響が広がっています。
マカッサルは、今回の降灰地域には入っていません。
しかし、マカッサル―ジャカルタ線は、インドネシア国内でも便数が多い主要路線です。そのため、スカルノ・ハッタ国際空港が閉鎖されると、マカッサルにもすぐ影響が及びます。
9月6日には、マカッサル―ジャカルタ線で少なくとも21便に欠航や遅延が発生しました。7日には影響がさらに広がり、地元報道によると、マカッサルを発着する便だけで少なくとも46便が欠航または予定変更となっています。
問題は、ジャカルタ便だけではありません。
飛行機は一日に複数の都市を移動します。乗務員も同様です。
ジャカルタで飛行機や乗務員が動けなくなると、その機材を使うはずだった別の路線にも遅延や欠航が広がります。
マカッサルの空港が正常に動いていても、ジャカルタから飛行機が来なければ、次の便を運航できません。
まさに連鎖的な影響です。
一方、火山活動については、少し明るい情報も出ています。
インドネシア地質庁によると、9月4日午後11時7分から始まった約25時間の連続噴火は、6日午前0時4分に終了しました。
火山活動の強さを示す観測値も、6日以降は低下傾向にあります。
ただし、噴火活動が完全に終わったわけではありません。
現在も断続的なストロンボリ式噴火が続いており、アナック・クラカタウ山の警戒レベルは、4段階のうち上から2番目にあたるレベルIII「Siaga」のままです。
インドネシア地質庁も、今後しばらくは再び噴火する可能性が高いとして、火口から半径3キロ以内への立ち入りを禁止しています。
火山活動が弱まったからといって、航空便がすぐ正常に戻るわけではありません。
上空に放出された火山灰は、噴火が収まった後もしばらく空気中に残ります。
さらに、地面や建物に積もった灰が、乾燥した風によって再び舞い上がることもあります。
火山灰が飛行機のエンジンに入ると、内部で溶けて固まり、エンジン停止につながる危険があります。機体の窓や各種センサーにも影響を与えるため、火山灰が確認された場合、航空当局や航空会社は安全を優先し、運航を見合わせることがあります。
空港を再開するためには、上空と地上の火山灰が安全な水準になり、滑走路や駐機場の確認が終わり、駐機している飛行機の点検も完了する必要があります。
再開後も、欠航した乗客の振り替え、飛行機と乗務員の再配置、機体の点検などに時間がかかります。
今後、新たな大規模噴火が起きず、風向きや降雨によって火山灰が減少すれば、空港は段階的に再開される可能性があります。
しかし、空港が再開しても、すぐに通常運航へ戻るとは考えにくい状況です。
これまでに欠航した便の乗客を別の便へ振り替えるため、再開後の便は混雑します。航空機や乗務員の配置も大きく乱れています。
実際、スカルノ・ハッタ国際空港は7日午後11時59分まで運航停止となり、2日間にわたって大規模な混乱が続いています。今週前半は欠航や大幅な遅延が続く可能性が高く、火山活動と風向きが落ち着けば、後半にかけて徐々に正常化していくと考えられます。
ただし、火山活動が再び強まったり、風向きがジャカルタ方面へ変わったりすれば、空港が再び閉鎖される可能性もあります。
そのため、今週ジャカルタを発着する予定がある場合は、空港へ向かう前に航空会社へ便の状況を確認したほうがよいでしょう。
重要な商談や工場訪問については、可能であれば日程に余裕を持たせ、代替日も準備しておいたほうがよさそうです。
今回、マカッサルでは降灰による直接的な被害はありません。
それでも、私たちの仕事は実際に止まりました。
予定していた出張者が来られず、ミーティングや訪問日程を変更しなければならなくなったからです。
インドネシアの航空ネットワークが、いかにジャカルタを中心に動いているかを改めて感じます。
ジャカルタの空港が止まると、影響はジャカルタだけにとどまりません。
マカッサル、スラバヤ、バリ、スマトラ、カリマンタン、パプア。そして、インドネシア国外を結ぶ便にも連鎖していきます。
マカッサルの空はいつもと変わらず、街も普段どおりです。
それでも、ジャカルタから来るはずの飛行機は来ない。
今回の噴火は、遠く離れた場所で起きた自然災害が、航空ネットワークを通じて私たちの仕事や予定に直接つながっていることを、実感させる出来事となりました。
※本記事は2026年9月7日午後5時30分時点の情報をもとにしています。空港の閉鎖時間や各便の運航状況は変更される可能性があります。利用予定がある場合は、各航空会社および空港の公式情報をご確認ください。
参考:
インドネシア運輸省
インドネシア地質庁・9月7日発表
スカルノ・ハッタ国際空港・運航情報
Reutersによる現地報道