ラオス渡航のトランジットとして立ち寄ったホーチミン。乗り継ぎ時間は約20時間あり、市内中心・ベンタイン市場近くのホテルに宿泊しました。リニューアル直後の清潔な部屋で一息つき、まずは近くでベトナム料理を堪能。その後、久しぶりにブイビエン通りを歩くも、相変わらずの喧騒にビール一杯で早めに退散。短い滞在ながら、街の熱量と静けさの両方を味わえた、印象深いトランジットの夜をお伝えします。
ラオス・ルアンパバーンへ向かう旅の途中、私はホーチミンに降り立ちました。
今回の滞在は、あくまでトランジット。
翌日にはビエンチャン行きのフライトが待っています。
それでも、乗り継ぎ時間は約20時間。
空港で一夜を明かすには長く、
「街へ出るには短すぎる」と切り捨てるには、少し惜しい時間でした。
移動の合間。
旅程表の隙間。
そう呼ばれがちなトランジットですが、
実はこの“中途半端な時間”こそ、その街の素顔が見えやすい瞬間なのではないか。
そう思い、私は空港を後にしました。
空港からGrabに乗り、向かったのは市内中心部。
ベンタイン市場周辺は、ホーチミンの中でも分かりやすく、
短時間滞在には非常に扱いやすいエリアです。
今回選んだホテルは、最近リニューアルしたばかりとのこと。
正直、外観だけを見れば特別感はありません。
しかし、部屋に入った瞬間に感じたのは、
「ここなら、ちゃんと休める」という確信でした。
ベッドは清潔で、照明は柔らかい。
シャワーの水圧も申し分なく、
旅の途中で乱れがちな生活リズムを、静かに整えてくれる空間。
豪華さはない。
けれど、“不安要素がない”。
トランジット中の宿泊に必要なのは、まさにこれだと思いました。
時刻は19時50分。
荷物を置き、身軽になって外へ出ます。
ホーチミンの夜は、ここからです。
Mia Hotel
知らない街に着いた夜、
まずやるべきことは「観光」ではありません。
食事です。
ホテル周辺の裏路地を歩きながら、
騒がしすぎず、かといって静かすぎない店を探します。
目に留まったのは、派手なネオンも客引きもないベトナム料理店。
中を覗くと、地元客と旅行者が半々ほど。
このバランス感が、個人的にはちょうどいい。
注文した料理は、いずれもベトナムらしい定番。
香草の香り、揚げ物の軽さ、魚醤ベースのタレ。
奇をてらわず、でもきちんと美味しい。
移動で少し疲れた身体に、
こういう食事は驚くほど効きます。
この時点で、
「外に出てきてよかったな」
そう思えていました。
Bếp Mẹ Ỉn – Vietnamese Restaurant
せっかくなので、少しだけ足を延ばします。
向かった先は、ブイビエン通り。
ホーチミンを知る人なら誰もが思い浮かべる、
あの雑多で、派手で、どこか現実感の薄い一角です。
通りに入った瞬間、音量が跳ね上がります。
爆音の音楽、ネオン、呼び込み、路上に溢れる人の波。
何度来ても、ここは「浮世離れした場所」だと感じます。
バービアに入り、ビールを一杯。
冷えたグラスは悪くない。
ただ、流れてくる音楽がどうにも自分の感覚と合わない。
昔なら、
「せっかくだし、もう一杯」
そう言っていたかもしれません。
でも今は違う。
合わないものに、無理に合わせる必要はない。
ビール一杯で、静かに席を立ちました。
ブイビエン通りを離れると、
同じ街とは思えないほど、空気が落ち着きます。
歩いてホテルへ戻る途中、
街灯の下をバイクが流れ、
コンビニに立ち寄る地元の人たちが目に入ります。
観光地の顔ではない、
ホーチミンの日常。
22時ちょうど。
部屋に戻り、照明を落とします。
さきほどまでの喧騒が嘘のように、
室内は静まり返っていました。
今回のホーチミン滞在は、あくまで通過点です。
翌日には、ラオス・ビエンチャンへ向かいます。
それでも、
・安心して眠れるホテル
・きちんとしたベトナム料理
・街のエネルギーを少しだけ体感した夜
この3つがあるだけで、
旅の記憶は確実に厚みを増しました。
トランジットは、
「我慢する時間」ではありません。
使い方次第で、旅を何倍にも豊かにしてくれる時間です。
雨季のバリから、乾季のホーチミンへ。
そして、次はラオスの空へ。
静かな部屋で横になりながら、
次の国の景色を思い浮かべていました。