ホーチミンでのトランジットを、「待ち時間」ではなく一つの旅として楽しみました。ローカル食堂で味わうフォーから始まり、移動の疲れを癒すヘッドスパ、街に溶け込むベトナムコーヒーの時間、そして締めは空港で食べるバインミー。限られた時間の中で“やりたいことを全部やる”と決めたことで、トランジットは想像以上に濃密な体験になりました。
乗り継ぎ時間は、ただ次のフライトを待つための空白ではありません。
そう感じるようになったのは、ホーチミンを何度か経由するようになってからでした。
今回のトランジットは約20時間。
一見すると短いようで、実は「やろうと思えば、かなりのことができる」絶妙な長さです。
今回のテーマはとてもシンプルです。
ホーチミンで、やりたいことを全部やる。
詰め込みすぎに見えるかもしれません。
しかし結果から言えば、この短時間ですべてをやりきったからこそ、満足度は想像以上に高いものになりました。
特別な店を探したわけではありません。
ホテルの近くにあり、ローカルの人たちが通う店を選びました。
身体が自然と「今はこれがいい」と求めてきた感覚に従った結果です。
観光客向けの有名店ではなく、できるだけ日常に近い店。
金属製のテーブルに、低めの椅子。
飾り気のない空間に、静かに湯気を立てる一杯のフォーが運ばれてきます。
スープは澄んでいて、香りは控えめです。
一口飲んだ瞬間に広がるのは、派手さではなく安心感でした。
米麺は柔らかすぎず、喉をすっと通っていきます。
ライムを軽く絞り、香草をたっぷり加えます。
この時間は刺激よりも、バランスを大切にしたかったのです。
朝に食べるフォーは、胃を満たす以上の役割を果たしてくれます。
「この先も、まだ旅は続けられる」
そんな感覚を、静かに身体に思い出させてくれました。
Phở Phú Vương
https://maps.app.goo.gl/Gqo8aDRfPzvMZipF8
フォーのあとは、ヘッドスパへ向かいました。
ホーチミンには、観光客でも入りやすく、清潔感のあるヘッドスパが多くあります。
ここでの目的は贅沢ではありません。
移動で溜まった疲れを、一度きれいにリセットすることです。
薄暗い空間、低めの照明、控えめな音楽。
椅子に身を預けた瞬間、頭の中で張りつめていた何かが、ふっと緩むのが分かりました。
温かいお湯が流れ、指が頭皮をゆっくりと動いていきます。
強すぎず、弱すぎず、ちょうどいい圧。
言葉を交わす必要はなく、ただ身を任せるだけで十分でした。
不思議なことに、頭をほぐされていると、思考まで整理されていきます。
次の移動のこと、翌日の予定、仕事のこと。
それらが一度距離を取り、静かに並び直されていく感覚があります。
トランジット中にヘッドスパを入れる。
これは今後も、積極的に取り入れたい選択肢だと感じました。
Sailling Foot Massage
https://maps.app.goo.gl/BYLhmyMsYjstbUi47
身体が軽くなったあとは、カフェに立ち寄りました。
ホーチミンでは、カフェは休憩場所というより、生活の延長線にある存在です。
小さなテーブルに、プラスチックの椅子。
背筋を伸ばす必要も、長居を気にする必要もありません。
ただ座って、コーヒーを飲むだけです。
グラスに注がれたベトナムコーヒーは、濃く、冷たく、しっかり甘い味わい。
氷が少しずつ溶け、時間とともに味が変わっていきます。
周囲を見渡すと、地元の人たちが思い思いに時間を過ごしています。
会話をする人、スマートフォンを見る人、ただ外を眺める人。
誰も急いでいません。
旅先で「何もしない時間」を意識的につくると、その街の輪郭がはっきりしてきます。
ホーチミンはエネルギーの強い街ですが、こうした緩やかな時間も、確かに同時に流れています。
Tiệm Cafe Gốc 169
https://maps.app.goo.gl/8iN3wowxLxFtrx7r6
市内での締めは、バインミーです。
ただし今回は、空港で食べるためにテイクアウトにしました。
焼きたてのパンに、香ばしい肉、なます、香草。
手に持った瞬間の温度と重みで、「これは間違いない」と確信します。
包み紙越しに伝わってくるパンの熱。
この状態のまま空港へ向かうのが、今回の計画でした。
空港で食べるバインミーが、いちばん美味しい
タンソンニャット空港に戻り、出国手続きを済ませます。
空港という無機質な空間で食べるバインミーは、不思議と強く印象に残ります。
街の喧騒を思い出しながら、一口かじります。
パンはまだサクッとしていて、具材はしっかり主張してきます。
「さっきまで、確かにこの街にいた」
その実感を、味がしっかり補強してくれました。
乗り継ぎ前に市内で食べるのではなく、あえて空港で食べる。
この選択が、今回のトランジット全体をきれいに締めてくれました。
Bánh Mì Chim Chạy Minh Khai – Phường Phạm Ngũ Lão
https://maps.app.goo.gl/oRuC7RX25qtu36Wd7
フォー、ヘッドスパ、ベトナムコーヒー、バインミー。
一つひとつは小さな体験ですが、すべてをつなげると、確かな「ホーチミンの記憶」になります。
トランジットだからと、何もしないのはもったいないです。
無理に観光名所を詰め込む必要もありません。
自分が本当にやりたいことを絞り、それを全部やる。
その方が、結果的に満足度は高くなります。
次は、ラオス・ビエンチャンへ向かいます。
ホーチミンで整えた身体と気持ちを、そのまま次の街へ持っていきます。
乗り継ぎは、ただの移動ではありません。
もう一つの旅です。
そう実感させてくれた、濃密な20時間でした。