弾丸ジャカルタ出張の最終日です。
スカルノハッタ国際空港・ターミナル3、17番ゲート。
大きな窓の外を何気なく見た瞬間、思わず足が止まりました。
白い機体に、鮮やかな色彩。
ポップなキャラクターが描かれた、特別塗装機です。
今日のGA640便は、
ガルーダ・インドネシア航空の
特別塗装機でした。
正直に言えば、この数日間はずっと気を張り続けていました。
会議、移動、判断、そして渋滞。
すべてを終えた帰り道で、この機体を見た瞬間、理由もなく気持ちが少し緩んだのを感じました。
搭乗アナウンスが流れ、機内へと進みます。
座席は23A、窓側です。
「スラマッ・パギ」
客室乗務員の穏やかな挨拶が、
都市の喧騒を一つずつ遠ざけてくれるようでした。
座席に腰を下ろし、窓の外を見ます。
この2時間は、
もう「移動」ではありません。
プッシュバックと同時に、思考がほどけていきます
プッシュバックが始まり、エンジン音が変わります。
巨大なターミナルが、ゆっくりと遠ざかっていきます。
ジャカルタでは、常に次の予定を考えていました。
会議の次、移動の次、食事の次。
しかし高度が上がるにつれ、
そうした「次」を考える必要がなくなっていきます。
地上に置いてきたのです。
予定表も、判断も、渋滞も。
上空から見るジャカルタという都市
離陸後、眼下に広がるジャカルタの街。
高速道路、住宅地、高層ビル。
3,000万人都市の密度が、上空からだと驚くほど冷静に見えます。
この街には、確かにエネルギーがあります。
しかし同時に、人を消耗させる街でもあります。
だからこそ、
自分には「戻る場所」が必要なのだと、
空の上で改めて思いました。
シートベルトサインが消え、機内食が配られます。
派手ではありません。
ですが、きちんと温かい食事です。
パッケージには、
“Because You Matter” の文字。
この言葉は、
忙しい出張者にこそ、静かに効いてきます。
12月。雨季のインドネシアです。
それでも今日は、見事な晴れ間に恵まれました。
雲海の向こうに、青い空。
雲の切れ間から見える海と島々。
インドネシアは広く、
そして思っている以上に多様な国です。
ジャカルタで話していた案件も、
こうして空から眺めると、
この国の一部でしかないのだと感じます。
眼下の海の色が、少しずつ変わっていきます。
ジャワ海から、スラウェシ海へ。
ターコイズブルー、エメラルドグリーン。
小さな島々、白い砂浜、点在する集落。
その一つひとつに、確かな生活があります。
自分が帰るマカッサルも、
この延長線上にあるのだと思いました。
降下開始、「帰る」という感覚
降下のアナウンスが流れます。
雲を抜けると、
スラウェシ島の景色が広がりました。
高層ビルは多くありません。
ですが、街の輪郭がはっきりしています。
「仕事が終わった」というよりも、
「生活に戻ります」
その感覚の方が、ずっと強くありました。
最終アプローチに入ります。
軽い衝撃とともに、着陸。
約2時間のフライトでした。
天候よし、機内よし、そして気分もよし。
今回のジャカルタ出張は、
短く、密度が高く、正直なところ疲れましたが、達成感があった成果も見えました。
そしてまた、日常が始まります。
マカッサルでの生活へ、仕事へ。
弾丸出張は終わりましたが、次の移動は、きっとすぐにやってきます。