静けさに包まれた早朝のスルタン・ハサヌディン国際空港。
この日搭乗したのは、ガルーダ・インドネシア航空のGA617便、ボーイング737-800型機。目的地はインドネシアの首都ジャカルタです。
定刻の7:30に出発したこのフライトは、まさに理想的な空の旅でした。
快晴の空、心地よい機内、そして何より窓の外に広がる癒やしの風景――。久しぶりに「完璧なフライトだった」と感じられる時間でした。
朝焼けに染まる大地と空の下、ガルーダ・インドネシアで体験した、空から見るインドネシアの美しさをじっくりと堪能しました。
座席は後方の窓側「34A」。落ち着いたオレンジ系のファブリックで統一されたシートが、機内に温かみを与えてくれます。
朝の柔らかな陽射しが窓から差し込み、シートまわりを優しく包み込むこの瞬間だけでも、特別な旅の始まりを感じさせます。
モニターでは映画や音楽などのエンターテインメントが楽しめますが、今回のフライトでの主役は間違いなく「窓の外の景色」でした。
エンジンの音が高まり、機体がゆっくりと滑走路を進みます。
そして離陸の瞬間、ふわりと空に舞い上がると、眼下には朝日に照らされたマカッサルの街並み、緑豊かな森、そしてきらめく海が姿を現しました。
やがて機体が海上に出ると、小さなサンゴ礁の島々が点在する光景が広がり、飛行機の翼と重なるその眺めはまるで一枚の絵画のよう。
機体が安定高度に達すると、空一面に広がる青空と雲海。濃いブルーの海と白く散った雲が、透明感のある空に映え、この日の空は本当に素晴らしいものでした。
ふと窓の向こうを眺めるだけで、心がふっと軽くなり、深呼吸したくなるような――そんな癒やしの時間が、空の上で静かに流れていきました。
短距離ながら、ガルーダ・インドネシアでは機内食の提供があります。
この日の朝食は、ナシゴレン風の鶏ピラフに温野菜が添えられた軽めのメニュー。味付けもバランスが良く、朝にちょうどいいボリュームです。
空を見下ろしながらいただく温かい食事は、体だけでなく心まで満たしてくれました。
そして何より、ブラックコーヒーの香りと味が格別。
高度1万メートルの上空で飲む一杯は、地上では味わえない特別なひとときとなります。
ジャワ島上空にさしかかると、視界の先に浮かび上がってきたのは、山々のシルエット。
くっきりと形を描くのは、東ジャワにそびえるスメル山です。
高高度の機窓から見るその姿は堂々としており、まるで空を突き刺すかのような迫力すら感じられます。
濃紺の空にうっすらと浮かぶ火山の稜線には、写真では伝えきれない神秘的な美しさがあり、つい見入ってしまいました。
あの静かな山々の姿には、言葉にできない力が宿っているように感じられました。
快適だった空の旅も、あっという間に終盤を迎えます。
機体はゆっくりと高度を下げ、ジャカルタ・スカルノハッタ国際空港の滑走路へと向かっていきます。
眼下には郊外の住宅地や農地が広がり、都会のスモッグがうっすらと空を覆うなか、珍しく澄んだ青空が広がっていました。
着陸と同時に機体のスポイラーが立ち上がり、地面をしっかりと捉えるあの「着地の感覚」とともに、朝の旅は無事に幕を下ろしました。
この日のフライトは、快晴という最高のコンディションのもと、「空から見るインドネシアの美しさ」を改めて実感する旅でした。
気候、フライトの定刻運航、座席の快適さ、機内サービス、そして窓の外に広がる絶景。
すべての要素がそろった“理想のフライト”だったと言えます。
マカッサルからジャカルタまでの空の旅が、これほど心地よく、豊かで、そして癒やされる体験だったのは本当に久しぶりでした。次回も窓側の席を選び、またあの空の風景に出会いたいと思います。