中部ジャワ・ジェパラを目指して、マカッサルからジャカルタ経由でスマランへ。朝の静かな空港出発から、空から眺めるジャワ島横断の絶景、そしてスマランへの着陸まで、ガルーダ・インドネシア航空で体験した、短くも濃密なジャワ島フライトの魅力をお届けします。
ジャカルタ・スカルノハッタ空港のターミナル1Bに到着した私は、国内線の中心となるターミナル3へ移動します。空港内を走るスカイトレインに乗り込むと、ちょうど東の空が赤く染まり始め、車窓の向こうからやわらかな朝日が差し込んできました。
コンクリートの滑走路や誘導路、遠くに見える整備中の飛行機、そして少しずつ動き出すスタッフの姿、それらが朝の光を受けて黄金色に輝き、まるで映画のワンシーンのような美しさを醸し出していました。スカイトレインの車内はまだ空いており、静けさが漂っていて、旅の余白を感じさせてくれます。
ターミナル3に到着し、チェックインを済ませて搭乗ゲートへと向かいます。今回搭乗するのは、ガルーダ・インドネシア航空のGA232便。午前7時50分発で、中部ジャワの州都スマランを目指します。
座席は右側の窓側、30K。眼下に広がるジャワ島の風景を期待して、あえてこの席を選びました。搭乗した機材は、ボーイング737-800(機体番号:PK-GUH)。
機内に入り、すぐに気づいたのは、座席に個人モニターが設置されていないこと。少し意外でしたが、1時間にも満たないフライトとあって、むしろ窓の外の景色を楽しむにはちょうど良いと感じました。
Wi-Fi対応の新サービスも導入されており、今後はそれぞれのスマートデバイスで映画や音楽を楽しむスタイルへと移行していくのかもしれません。
機体が滑走路を離れ、ゆっくりとジャカルタの空へと舞い上がると、右手に見えてきたのはスディルマン通りを中心としたジャカルタ中心部の高層ビル群。無数のビルが立ち並ぶ様子は、東南アジア最大の都市圏であることを実感させるスケール感です。朝日を反射してキラキラと輝くビル群の光景は幻想的で、思わず目を奪われました。珍しく大気汚染も少なく、遠くの山々まで見渡せるほどの視界の良さも印象的でした。
さらに高度を上げると、郊外の住宅街や工業地帯、そしてその先に広がるジャワ島の内陸部が見えてきます。早朝の澄んだ空気のおかげで、遠くまでクリアに見渡せました。標高の高い山々が連なり、雲を突き抜けるようにそびえ立つその姿は圧巻。その手前には、整然と並んだ水田や農地がパッチワークのように広がり、色とりどりの田園風景が眼下に続きます。
ジャワ島は広大なだけでなく、地形の変化に富んでいるのが特徴です。しばらく飛ぶと、なだらかに続く丘陵や山岳地帯が姿を現します。
山と山のあいだには霧に包まれた小さな町や村も点在し、モスクのミナレットや赤瓦の屋根がかすかに見え隠れしています。こうした風景を眺めていると、ジャワ島の人の暮らしの密度に驚かされるとともに、「ここにも日々の営みがあるのだ」と、地上とのつながりを感じずにはいられません。
ほどなくして機内サービスが始まりました。提供されたのは、パンと、甘めの豆菓子、そしてミネラルウォーター。シンプルな内容ですが、ジャワ島の雄大な風景を眺めながら味わうには、これ以上ないほどの“空の朝食”です。
パンをひと口頬張りながら、下に広がる山並みや村の風景を眺めていると、この短い空の旅がどれほど豊かな体験であるかをしみじみと感じます。窓の外をただ眺めているだけで、心が自然と旅のリズムに整っていくのを感じるそんな時間が、そこには確かに流れていました。
やがて機体がゆっくりと降下を始めると、眼下にスマランの街並みが姿を現します。赤い屋根の住宅がびっしりと並び、沿岸部には港に停泊する大型船の姿も見えます。滑走路が近づくにつれ、スマランの地形の特徴も明瞭に。海に面しながらも背後に丘陵が広がり、都市と自然が美しく調和した風景が広がっていました。
着陸したのはアフマド・ヤニ国際空港。
近代的なターミナルと緑に囲まれた自然豊かなロケーションが特徴の空港です。窓の外には、ジャワ島らしい強い日差しと、青々とした木々の風景が広がっていました。
わずか1時間足らずのフライトでしたが、その密度と感動は、長距離便にも引けを取らないものでした。早朝の出発、機上から眺めるジャワ島の絶景、静かに迎えるスマランの朝。
短いながらも旅の醍醐味がぎゅっと詰まった、まさに記憶に残る空の旅でした。