マカッサル発スラバヤ行きシティリンクQG351便で起きた出来事
この日、私はシティリンクQG351便でマカッサルからスラバヤへ向かう予定でした。しかし、あってはならない“もしも”が起こる緊迫のフライトとなり、改めて航空機の安全性について考えさせられる体験となりました。
久しぶりのスラバヤ訪問。アパートを出発し、タクシーで予定通りマカッサル空港へ到着。
出発までの時間はラウンジでひと息つき、その後搭乗口へ向かいました。
今回のフライトは9時5分発。機材はAirbus A320-200(機体番号PK-GLY)で、私は左側11A、窓側の席となりました。隣も通路側も空席で、これはラッキーと思いながら、9:08にドアが閉まり、定刻通りにタキシングが始まります。滑走路に入り、エンジン音が高鳴っていきましたが、いつものA320に比べてエンジン音が大きいように感じました。それでも、「気のせいかな」と特に気に留めることもなく、機体は加速してそのまま離陸していきました。
今にして思えば、これが何かの予兆だったのかもしれません。
離陸直後、明らかに機体の上昇が緩やかで、マカッサル市内がいつまでも視界に入り続けることに気がつきました。
「高度が上がらない」「旋回を繰り返している」「いつもと違う飛行ルート」──違和感はあったものの、シートベルトサインは点灯したまま、アナウンスもなし。機内は静まり返り、誰も騒ぎ立てる様子もありません。
ようやくアナウンスが入り、「不具合のため、マカッサル空港へ引き返す」とのこと。
その原因は、左側エンジンのプロペラ損傷。
「飛行には支障ない」との説明がありましたが、私はまさにそのエンジンの真横の11Aに座っていたため、緊張感は増すばかりでした。
「このままエンジンが止まってしまうのでは?」という不安が頭をよぎり、じっと窓の外を見ながら異音や煙が出ていないか確認することしかできませんでした。
再びマカッサル市内上空に入り、着陸態勢に入ったものの、安心できるような心境ではありません。それでも、機長は見事な操縦で、プロペラ損傷とは思えないほど安定したランディングを成功させ、機体はマカッサル空港の滑走路に無事着陸しました。
飛行時間およそ30分。機体が停止するとすぐに地上スタッフが駆け寄り、問題のエンジン部分の確認に向かっていく姿が印象的でした。
その後、約30分ほど機内で待機し、用意されたバスでターミナルへと戻ることになりました。
幸い、パイロットの冷静かつ的確な判断、そしてクルーの落ち着いた対応のおかげで、乗客全員が安全に地上へ戻ることができました。
現在、航空会社による対応のもと、別の機材が手配され、後ほど改めてスラバヤへ向かう予定となっています。
私は年間50〜60回ほど飛行機を利用していますが、今回ほど緊張感に包まれたフライトは初めてでした。
「飛行機は安全な乗り物」とは言われますが、“無事に目的地へ到着する”ことがいかにありがたいか──その当たり前に、改めて感謝の気持ちを抱かずにはいられません。