Categories: IndonesiaMakassar

【マカッサル夜散歩】ロサリビーチからナイトマーケットへ──熱気と笑顔に包まれる夜の市場

ライトアップされたピニシ船カフェ「HAKATA号」で夜風に吹かれながらコーヒーを飲んだあと、もう少し夜のマカッサルを歩いてみたい気分になりました。そこで向かったのが、チドゥ伝統市場。昼間は生鮮市場として知られていますが、夜になるとその雰囲気は一変。まさに“マカッサルの夜の顔”とも言えるナイトマーケットへと姿を変えるのです。

サッカー観戦の熱狂に飛び込む

市場へ向かう途中、通り沿いのオープンエアのカフェでは、所狭しとプラスチック椅子が並び、人、人、人の大盛況。その視線の先には、白壁に映し出されたサッカー・ワールドカップ予選の中継。ローカルの人々がコーヒー片手に熱狂する様子はなんとも活気にあふれており、思わず私もその一体感に吸い込まれてしまいました。

夜の街角で、これほど多くの人が一緒にサッカーを楽しむ光景を目にしたのは、初めてかもしれません。まさに“ワルコップ文化”の真骨頂です。

ナイトマーケットの中心へ──活気あふれるチドゥ市場の屋台街

さらに奥へと進むと、チドゥ市場(Cidu Market)が見えてきます。マカッサルで最も歴史あるナイトマーケットのひとつで、そこにはまさに別世界が広がっていました。細い通りをびっしりと埋め尽くす屋台と人波。バイクのエンジン音と笑い声が入り混じり、ローカルのエネルギーが渦巻いています。

並ぶのは、お菓子、焼きたての串焼き、ドリンク、炒め物、ご飯系スナック、さらには韓国風のトッポギやスティックソーセージまで。1品Rp5,000〜10,000(約50円〜100円)で気軽に楽しめるB級グルメが軒を連ね、どれも食欲をそそるものばかりです。

多国籍な雰囲気と、生活感あふれるリアル・マカッサル

印象的だったのは、パジャマ姿の若者グループ、スカーフ姿で子どもを連れた家族、バイクにまたがったまま串を頬張る青年など、まさに“マカッサルの日常”がそのまま切り取られたような空間が広がっていたことです。

観光地やおしゃれなレストランでは感じられない、地元の人々の「素の生活」がそこにはありました。魚市場エリアでは、深夜にもかかわらず新鮮なイカや魚を並べる屋台もあり、市場特有の潮の香りと、リアルなエネルギーが五感を刺激します。

静と動が織りなす、マカッサルの“夜の肖像”

これまで何度もマカッサルに滞在してきましたが、チドゥ市場の夜の風景はまさに新発見でした。**静かに波の音を聞くロサリの浜辺から、屋台の熱気と活気に包まれる市場の喧騒へ。**対照的でありながら、どちらもこの街の魅力そのものです。

ロサリビーチは、昼間は観光客や地元の家族連れでにぎわいますが、夜になると一転、穏やかな空気が流れ始めます。潮風がゆるやかに肌をなで、遠くで波の音がリズムを刻むなか、海沿いに並ぶピニシ船が柔らかな光に包まれて静かに佇む光景、そこにはまるで時間が止まったかのような、静謐で詩的な空気があります。

灯りのゆらめきの中で、木の香りの残る甲板に腰掛け、コーヒーを一口すすると、そこはまるで“記憶の中にある港町”。旅の疲れも日常の喧騒も、ゆっくりとほどけていくような感覚を覚えました。

しかし、そのロマンチックな余韻を胸に歩を進めれば、風景は一変します。

チドゥ市場のナイトマーケットは、夜の熱気が凝縮された“生きる現場”。雑踏の中を縫うように走るバイク、屋台から立ち上る煙、飛び交うスラウェシ訛りのインドネシア語、無造作に並べられた屋台グルメの香り、そこには“眠らない街”のエネルギーが満ちています。

クルプックを揚げる油の音、笑い声とともに花咲くおしゃべり、大画面のサッカー中継に歓声を上げる若者たち、買い物袋をぶら下げて笑いながら歩く家族連れ、その表情には、この街で生きている実感、そして“マカッサルの夜を楽しむ自由さ”があふれていました。

マカッサルという都市の本質

この対照的な二つの風景は、まさにマカッサルという街の本質を映し出しています。

静かに過去を語る港と、今を全力で生きる市場。

潮風と笑い声。

余韻と熱気。

どちらが欠けても、マカッサルではない。それぞれが補い合い、共鳴し合うことで、この街の“夜の肖像”は完成するのです。

このように、一晩の散歩で“静と動”の両極を体感できる都市は、世界的にもそう多くはありません。観光地としての顔と、生活都市としてのリアル。その二つを同時に味わえるからこそ、マカッサルの夜には深みと奥行きがある。

訪れる者に、何かしらの“気づき”や“再発見”を与えてくれる、そんな懐の深さが、マカッサルにはあるのだと、あらためて感じさせられた夜でした。マカッサルの夜は、歩けば歩くほど深くなる、そんなことを思わせてくれる、心に残る充実した一夜でした。

kenji kuzunuki

葛貫ケンジ@インドネシアの海で闘う社長🇮🇩 Kenndo Fisheries 代表🏢 インドネシア全国の魅力を発信🎥 タコなどの水産会社を経営中25年間サラリーマン人生から、インドネシアで起業してインドネシアライフを満喫しています。 インドネシア情報だけでなく、営業部門に長年いましたので、営業についてや、今プログラミングを勉強中ですので、皆さんのお役にたつ情報をお伝えします。