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スパイス諸島の名残を訪ねて!テルナテのカラマタ砦と絶景のマイタラ島・ティドレ島

テルナテの旅の締めくくりに訪れたのは、海に突き出すように建つ歴史的要塞「カラマタ砦(Benteng Kalamata)」。約500年前に建てられたポルトガル時代の要塞で、今も当時の趣を色濃く残しています。特徴的な四つの角を持つ星形の構造、荒々しい石造りの壁、そして要塞の先端から望むマイタラ島とティドレ島の絶景。スパイス諸島と呼ばれたマルクの歴史を感じられる場所を紹介します。

カラマタ砦の歴史

カラマタ砦は1540年、ポルトガル人によって建設されたと伝えられています。彼らはクローブやナツメグといった香辛料を求め、この地に拠点を築きました。当時のマルク諸島は世界のスパイス貿易の中心であり、テルナテやティドレはヨーロッパ諸国の熾烈な覇権争いの舞台となっていました。

要塞は海からの侵入に備える防衛拠点として建てられ、周囲を見渡せる戦略的な位置に置かれました。正面にあった木製の門は失われましたが、高さ約3.7メートルの石造りの壁はいまも健在。波や風雨にさらされながらも、約500年にわたりこの地に立ち続けています。

その後はオランダや地元勢力の支配を経て、歴史の荒波をくぐり抜けてきました。1994年にはインドネシア共和国教育文化省によって保存修復が行われ、現在は歴史的文化遺産として一般公開されています。

星形の構造と堅牢な造り

カラマタ砦の特徴は、上空から見ると星形を描く独特の構造です。四隅には見張りや大砲を配置できる小さな砦が設けられ、全方位からの攻撃に備えられる設計となっています。この形式はヨーロッパの要塞建築でも広く用いられており、当時の建築技術がテルナテに持ち込まれたことを物語ります。

壁は珊瑚や溶岩石を組み合わせ、石灰で固めたもの。間近で見るとごつごつとした石の質感や工法の跡がそのまま残り、まるで時間が止まったかのような迫力があります。

内部は芝生が整備され、自由に散策できるようになっています。観光地化されすぎていないため、素朴な雰囲気の中で静かに歩けるのも魅力です。

カラマタ砦から望むマイタラ島とティドレ島の絶景

要塞の先端に立つと、目の前にはマイタラ島とティドレ島が広がります。ティドレ島の雄大な火山、その手前に寄り添うように浮かぶマイタラ島。この構図はインドネシアの1000ルピア紙幣にも描かれており、歴史と自然が重なる象徴的な風景です。

青い海に浮かぶ島々と黒い石壁とのコントラストは、まるで一枚の絵画。まさに「歴史の遺構と自然の絶景が融合する場所」といえるでしょう。

歴史に思いを馳せながら歩く

要塞内を歩いていると、かつてここで暮らした兵士たちの姿が自然と思い浮かびます。マルクをめぐる交易争いの時代、どれほど多くの人々がこの砦に立ち、海の向こうを見つめていたのか。

石壁に腰掛け、遠くを行き交う漁船を眺めていると、500年前の風景と現在の暮らしが不思議と重なって見える瞬間があります。かつては戦略的軍事拠点だった場所が、今は静かに観光客や地元の人々に開かれている――その歴史の変遷こそ、旅の醍醐味といえるでしょう。

まとめ

テルナテの旅の締めくくりにふさわしい場所、それが「カラマタ砦」でした。ポルトガルによって建てられ、スパイス貿易の栄華と戦いの歴史を物語る要塞。その石壁に触れると、インドネシアの歴史が手の中に蘇るような感覚を覚えます。

そして何より、要塞の先端から望むマイタラ島とティドレ島の景色はここでしか味わえない特別なもの。1000ルピア紙幣にも描かれた風景を、歴史的建造物とともに眺められる贅沢な歴史的建造物でした。

派手な観光地ではありませんが、静かで落ち着いた時間を過ごせるこの要塞は、テルナテを訪れるなら外せないスポット。入場無料という点も魅力です。次にテルナテを訪れるときにも、もう一度足を運びたくなる、そんな印象深い場所でした。

カラマタ砦(Benteng Kalamata)

入場料:無料

kenji kuzunuki

葛貫ケンジ@インドネシアの海で闘う社長🇮🇩 Kenndo Fisheries 代表🏢 インドネシア全国の魅力を発信🎥 タコなどの水産会社を経営中25年間サラリーマン人生から、インドネシアで起業してインドネシアライフを満喫しています。 インドネシア情報だけでなく、営業部門に長年いましたので、営業についてや、今プログラミングを勉強中ですので、皆さんのお役にたつ情報をお伝えします。